夫の不倫相手から謝罪はなし 和解まで2年を費やした慰謝料請求裁判が決着
■慰謝料100万円で和解
残念ながら、法廷に入っても、さなえの姿は見当たりませんでした。代わりに、裁判官を挟んで向かって左手の控訴人側の席には、さなえが雇ったらしき弁護士が座っています。今までの裁判では、さなえ側はいつも空席だったので、弁護士がいるだけで、「ああ、これできちんと片がつくんだ」と感激する思いでした。
こうして裁判が始まりました。まずは、裁判官が「さなえ本人による証言を希望するか」を確認しました。さなえ側の弁護士は「希望します」と答えましたが、こちらの弁護士は「その必要がないと思います」と意見を述べました。それを受けて、裁判官が「和解という選択肢はありますか」といったことを両者に尋ね、さなえ側の弁護士は「希望します。第一審では、そういう機会を得られなかったので」と言い、こちらの弁護士も「腹積もりはある」と応えました。裁判官はそれを聞いてほっとした様子で「では、和解について交渉していきましょう」と述べ、おおよそ5分ほどで第一回口頭弁論は終了することになりました。
それから数週間たち、弁護士を通して、さなえ側から和解の慰謝料の金額が届きました。100万円です。もともと、金額は問題にしていなかったというものの、ここまで精神的に消耗させられて、10万や20万だと「ちょっとバカにしてるのか?」と言いたくなりますが、100万円ならば、十分に向こう側の誠意というか、諦めが見られます。相談していた友人には「和解ってなに。仲直りなんて悔しくない?」とも言われましたが、別に仲直りするつもりはなく、ただ「この件を互いの条件に合うところで解決させましょう」という提案だと思えば、さほど腹は立ちません。
なので、和解を了承することになりました。一応、「手書きの謝罪文が欲しい」というリクエストを出したのですが、それは受け入れられませんでした。どちらにしても、裁判では、基本的には「謝罪すること」が判決として下されることはないので、和解にしろ判決を出すにしろ、同じことです。だから、結局、本人が最後まで、今回のことをどう考えているかは、さっぱりわからずじまいです。
和解は非公開で行われるということで、裁判所へは行きませんでした。こうして、発覚からおおよそ2年近くかけて、ようやくのこと、夫の不倫の決着がついたのです。
(まほ)