カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「nina’s」5月号

育児の株価を上げるために、「nina’s」で改心を叫ぶ元夜遊び系アーティストママたち!

2016/05/22 16:00
「nina’s」2016年5月号(祥伝社)

 ママたちが2カ月に1度、熾烈なオシャレバトルを繰り広げる「nina’s」(祥伝社)。今号より新しく始まった連載からレビューを始めたいと思います。昨年6月に長男を出産した森三中・大島美幸の夫で、放送作家の鈴木おさむ。分娩の一部始終をバラエティ番組で放送して賛否を呼んだことも記憶に新しい夫婦が、「nina’s」へと進出してきました。連載は、「鈴木おさむが育児をしながら使って良かったもの、サービスなどを勝手に紹介して★をつけさせていただきます」ということで、初回は電解アルカリ洗剤「超電水クリーンシュ!シュ!」と写真スタジオ「フォトスタジオ モクモク」の2つをピックアップ。「いや、なんで水がこんなにすごいかわからないけどね、お掃除好きなうちの妻もお手上げ中。僕の中では友達以上恋人未満の存在!」「今日の写真のすべてを音楽とともに見られて、お父ちゃん、泣きそうになる。なんか手作業感。これがいいんです」と、それぞれの商品にパパの目線でコメントを寄せています。

 おそらく今後「nina’s」に“おもしろ夫婦”枠として登場するようになるのでしょうが、この毒にも薬にもならない育児アイテム紹介を「おさむシュランガイド」というタイトルで連載化する政治力には脱帽するばかりです。いやマジで。

<トピックス>
◎新連載 おさむシュランガイド
◎季節を楽しむ家族のくらし・子育て・買ったもの
◎スタイルある家族のON・OFFスナップ!

■アーティスト系ママの妄言にご用心

 今号には鈴木以外にも初登場のタレントが何人かいます。まずは、SILVA。若い人はご存じないかもしれませんが、1990年代末にほんの一瞬起こったディーヴァブームの波に乗ってプチブレイクした歌手です。当時はサバサバ、あけっぴろげ、下ネタもガンガン言っちゃうイケイケ系姉御肌キャラでしたが、昨年母になってからはマイナーチェンジした様子。「夜行性だったし、下ネタばかり言ってたし、エロいこと考えてエロい歌作ってたのに、最近会う人みんなに『顔が優しくなった』とか『雰囲気変わった』って言われるんですよ」。

 その理由として「玄米や発酵食品を取って体を温めたり、ヨガをしたり、出産前から体調を整えていました。それに、旦那さんの支えも大きい」と、さっそく「nina’s」ママ要件である「玄米」「発酵食品」「ヨガ」が出てきましたよ。育児の日課はベビーマッサージに読み聞かせ、そして「夜は娘の前で毎日本気で歌ってます(笑)。『When You Wish Upon a Star』を歌手の声量で!」と生業をアピールすることも忘れません。

 「オシャレ」とは程遠い立ち位置にいたグラビアアイドルたちが出産を機に「オシャレな憧れママ」に路線変更する様子はたびたび「nina’s」でも見られました。しかしそれ以上に厄介なのは、アーティスト系ママがこの雑誌に降臨するとき。かつてブイブイ言わせていた自分が、子どもによってこんなに変えられた……アーティストとして表現の幅もこんなに広がった……と必要以上に出産を崇高に語り出すからです。

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