恋愛で勝つ女のテクニックとは? “プロ彼女”と、戦う男の手法に見る共通点
キャッチフレーズは、「二千五百年分の恋愛バイブル。」である。有史以来、恋だの愛だのについて書き記されてきたものは数えきれないほどある。しかし、このたび発行された新刊『女子の兵法』(セブン&アイ出版)の著者・佐伯紅緒(さえき べにお/小説家・脚本家)さんが着目したのは、男たちの戦い方について記された書。古代中国の『孫子の兵法』『兵法三十六計』といった兵法書から、宮本武蔵、黒田官兵衛、ブルース・リー、イチローといった、古今東西の戦う男たちが残した言葉の数々までを材に取っている。一見、恋愛とは遠いところにあるように見えるが……?
4月末に、佐伯さんによるトークショーが、東京・下北沢の「本屋B&B」で開催された。聞き役は、メディアプロデューサー・ブランドコンサルタントの守山菜穂子さん。登壇した佐伯さんは、小柄で華やかな雰囲気の女性で、およそ「兵法」といったイカついものとは結びつかないが、実は格闘技好きという。これまでに合気道やキックボクシングを習い、いまは剣術を習っている。最近ではアクション映画『RE:BORN』(下村勇二監督/2016年末公開予定)の脚本も担当したとか。
『女子の兵法』執筆のきっかけについて、佐伯さんは次のように話す。
「最初、本のお話をいただいたときは『“プロ彼女”について書きませんか?』と言われたんですね。俳優の西島秀俊さんの結婚が発表されて、そのお相手について話題になっていた頃です。私、『イヤです』ってお断りしたんです(笑)。世間でいうプロ彼女という語は、彼女らのしたたかさを揶揄しているようで好きになれなかったんです。公私において、名だたる俳優やミュージシャンと結婚した一般女性を見てきましたが、彼女たちはみんなすごく努力しています。そしてあるとき、私が好きな『戦い』の世界で用いられている手法と、彼女たちの恋愛テクニックに共通点があると気づいたんです」
自ら格闘技を体験する中で、女性には女性の戦い方があると気づいたという佐伯さん。腕力では絶対、男性にかなわない。正面からぶつかっても、自分が痛い思いをするだけ。女性という“性”を生かした戦い方をしなければ……。そこで、男性の戦い方を女性向けに応用することを思いついた佐伯さんは、『女子の兵法』で70の手法を示し、具体的な恋愛エピソードと併せて女性の戦い方を掘り下げる。
「私が実際に見聞きした恋愛エピソードを、ひとつひとつの兵法(や戦いの言葉)に当てはめています。なかには、誰もが知っている俳優さんと結婚した女性の話も含まれていますよ。ところが、そのモデルとなった女性たちは、本書を読んでも、誰ひとりとして自分のことが書かれているとは気づかない。ここに書かれているような兵法は、彼女たちにとって、もう血肉となっているんですね。頭で考えず、当たり前のこととして淡々と実行しているんです」(佐伯さん)