サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「婦人公論」が気づいた、断捨離のむなしさ カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」5月10日号 「婦人公論」が断捨離から離脱! 捨てない「収納」特集で見えた“ため込んだ人生”との向き合い方 2016/05/08 19:30 女性誌速攻レビュー婦人公論 その流れを受け、50代の料理研究家と60代のイラストレーター、そして70代のエッセイストの素敵な暮らし拝見企画「フォトルポ モノが多くても快適な住まいの秘訣」でも「無理に捨てるのではなく、過去と未来を見据えて無駄なくモノを循環させる、生活の達人たちのワザ」が紹介されています。食べ盛りのお子さんを抱える50代家庭は機能重視、悠々自適の60代夫婦二人暮らしは見せるインテリア、そして……やたらとすごみを漂わせるのが、70代代表・桐島洋子の骨董コレクターライフです。 元祖自由奔放文系女子、NOといえるシングルマザーである桐島が「子どもたちにかけてきたお金を今度は自分のために使おうと決めて、骨董を買い出した」のが50歳。しかも「しまい込むのではなく、人に見せてどんどん使ってもらうのが桐島流骨董とのこと。あぁ桐島邸を訪れる客人の緊張感……プライスレス。 モノや人に縛られない生き方に憧れていたけど、実は縛られることで生きていることを実感しているのかもしれない……断捨離をしまくった結果、人生のなんたるかを悟ってしまったのか「婦人公論」。しかし、しかしです。「アパルトマンで暮らしたパリ時代」に集めたノスタルジックな雑貨を美しくディスプレイするイラストレーターこぐれひでこ的センス、私塾を開くことも可能な広いリビングをどでかいソファーでしつらえる桐島洋子的財力、これらが揃って初めて「モノに縛られて生きるのもいいじゃない」と言えるとするなら、こりゃ断捨離の数百倍ハードル高いですわ。 ■金持ちこわい! 思えば断捨離があんなに流行したのも、イチ中年女性が唯一できる「生活を変える魔法」が「捨てること」だったからではないでしょうか。しかし「いるもの」「いらないもの」を突き詰めていけばいくほど、すべて「いらないもの」に見えてくるあの虚しさ、苦節ウン十年の人生で「いらないもの」しか周りにないという現実に、愕然とした「婦人公論」読者も少なくないのでは。まるで玉ねぎの皮を剥き続けるような所業です。 前のページ123次のページ Amazon 婦人公論 2016年 5/10 号 [雑誌] 関連記事 ただただ壮絶な手記が並ぶ「婦人公論」に見る、女の生への貪欲さと図太さ女性のあこがれ「老後の女子会」のツライ現実? 「婦人公論」で露呈した、世代で異なるその中身自分と子どもを分離できない「婦人公論」読者が考える、「結婚しないわが子」の業現代だったら炎上案件、戸川昌子が「婦人公論」で“溺愛と虐待”の育児を語る「老後に怯える」ことの本質を捉えた、「婦人公論」のぴんぴん老後特集