カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」3月8日号
不満を共有し読者に“自分語り”の快楽を与える、「婦人公論」の奇跡のシステム
2016/03/03 18:00
店のママから「あの人は止めたほうがいい」と忠告されるも、抑えられないこの衝動。「俺の子を産んでくれるか?」という言葉に揺さぶられ、結婚、そして妊娠。しかし彼の借金、ギャンブル狂い、DV、加えて不潔という現実に打ちのめされ、結果またもや離婚。事実だけを並べれば「幸せ」とは言い難い状況を、女性はこう振り返ります。「決して楽ではない日々だが、あの時『この人しかいない』と感じたのは、間違っていなかったように思う。強い結びつきを感じさせてくれる、子どもという縁。ほしかった家族をやっと掴んだと感じているからだ。相手を『無条件に愛する』ことで、満たされると知った。そう、今までそこが足りなかったから、うまくいかなかったのかもしれない」。
書くことで自分の人生を自身に納得させ、それを発表することで読者にあらためて自分語りを喚起させる、極めてまれなシステムを作り上げた「婦人公論」。SNSでは疎まれがちな自分語りも、ここでは軽いあいさつ。ウザイ、キモイ、ヤバイ、ウケるなんて言葉じゃ語り尽くせない人生が詰まっています。
(西澤千央)
最終更新:2016/03/03 18:00