「私は悪くない」と再浮上、小保方晴子&野々村竜太郎から期待する次の展開
――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!
◎舞台は整った
ゲス、ベッキー、甘利と、年明けから必載必殺の「週刊文春」(文藝春秋)。「恐怖新聞」か。
まあ、載ってなくても大変な状態にあるのが野々村竜太郎元議員と小保方晴子氏。また同じ時期に揃って急浮上とは。裁判と手記出版と、表現の場は異なれど、内容は一緒。100%「クロ」だと決め付けられない、アリの一穴狙い。「本当に記憶障害だったら」「本当に若山照彦先生が黒幕だったら」というシナリオを元に、それぞれに「私は悪くない」を紅天女ばりに熱演。小保方氏なんて、完全に人のせいにしてるしな。噛み付いてもいい相手を選び、再検証されない時期を見計らって。
若山センセイが訴訟したいと思っても、理研をはじめいろんな権力が、寝た子を起こさないよう「まーまー、ここはおさえて。どーせおみそが言ってることですから。センセイがやったなんて誰も思ってないですから。負け犬の遠吠え。ごまめの歯ぎしり。だから、ねっ、ねっ、ねっ」って説得するんだろうなぁ。災難だなぁ。
この小保方本、いかにもゴーストが書いたような文章だけど。書いたの新垣隆さんじゃないだろうな。これで佐村河内守さんが揃えば「花の14年組」勢ぞろいか。ご登場、お待ちしております。
◎石坂という味わい
『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)で石坂浩二があんまり話さないのって、「トシのせい」だと勝手に思ってた。昔はよく鑑定に口を挟んで玄人っぷりを見せてたもんなのに、今は今田耕司に丸投げか。ラクしてんなぁと。ボケてはないよねと。それが「リストラ部屋」レベルの凄惨ないじめだったとは……。いやはや。
しかし何年もこの状態で膠着してたってのは、石坂浩二もなかなか。「悪意」があることに気付かないフリをして、居座ってたんじゃないだろうか。ほかにレギュラーもないし。石坂浩二って、こういうとき、何か粘度の高い反応しそうだ。
島田紳助がいた頃なら周りの反応も違っただろうが、今田耕司じゃなぁ。仕事はデキるが、面倒に巻き込まれるのはごめんってタイプで、これまた見て見ぬフリしそう。
テレ東のお偉いさんも出てきて、「降板か」と注目が集まっているわけだが。「いなくても済んでいる」という基本的事実が悪目立ちする一方の印象である。事情はどうあれ。
◎渋谷は可
恥ずかしながら、年に数回くらいしか人と会わない生活をしているせいで、世の中を知らずにビックリすることが多い私であるが。最近お受験に成功し、「名門」といわれる小学校に子どもを入れた知人が引っ越すという、その理由に腰が抜けた。郊外にあるその学校は、「通学時間1時間以内の場所に居住」というのが入学の条件なのだそうである。しかも「新宿乗換え不可」。学校の場所、新宿発の私鉄沿線にあんのに。
都心の便利なところに持ち家があって、実家まで歩いてすぐで、夫の通勤にも便利。下の子も名門幼稚園に合格して、入学金払ったところなのに。泣く泣くこの幼稚園を諦め、土地勘のまったくない場所で春までに大慌てで部屋探し。夫の通勤時間は倍増で、もう実家に子守も頼れない。なんつう犠牲か。今のお受験はそこまでさせるのか。それにそこまで付き合うのか。SMか。
同い年の知り合いにそこの卒業生いるけど、当時は普通に千葉から通ってた。いつからこれがスタンダードに? 誰か教えて。
起こりうるリスクをなるべく防ぐべく、学校側がたどり着いたのがこのやり方ってのがすごい。「新宿乗換え不可」か。生まれてからずっと新宿ホームタウンにしてるけど、そこまでの街とも思えないんだが。それでどんな事態が防げると目算してるんだろう。
新宿乗換え不可。新宿乗換え不可。未知の価値感を象徴するこの文言に、とまどうばかり。伊勢丹もあるのに。
今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。