『職人男子 伝統に生きる僕たち』ブックレビュー

これぞ眼福の極み! 日本の伝統工芸を継ぐ、若きイケメン職人の世界をのぞき見できる『職人男子』

2016/01/27 15:00
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指物師の酒井裕行さん

 仕事に打ち込む男の姿は美しい。まして伝統工芸に携わる職人となると、力強くも器用な指先、射抜かれそうなほどの真剣な眼差し、流れる汗もそのままに作品と向き合う姿……何をとっても、ぞくっとするほど美しい。

 『職人男子 伝統に生きる僕たち』(辰巳出版)は、普段なかなか見ることができない、若き職人たちの仕事に打ち込む姿に迫った1冊だ。30代を中心に、野鍛治職人、刀剣職人、釘を使わずに組み立てた工芸品を作る指物師、竹藝家、江戸小紋職人、庄内刺し子作家、陶芸家、急須職人、江戸切子職人、南部鉄器職人など、そろいもそろってイケメンばかりが登場する。

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南部鉄器職人の吉田真也さん

 1人につき、10ページ近くにわたって紹介されており、工房で作業する様子が、さまざまな角度から映し出されている。力作業で血管が浮き出た腕、完成品をじっと見つめる鋭い視線など、女子が萌えそうなポイントをガッチリ押さえてある。私服で笑顔のオフショットも少し含まれ、もっと見たいと思わせるのだが、その出し惜しみ感がまたいい。

 さらに気になった箇所が、彼らの1日を追ったタイムスケジュール。「8時:起床。朝食。パンが多いが、果物しか食べないことも。9時:自宅横の工房にて仕事開始。作業時間はその日の天気や湿度で変わる。12時:昼食。屋根続きの母屋にて、両親、姉、嫁と子どもの川尻家全員で食べる。昼食後は横になって休む。」(陶芸家の川尻琢也さん)……など、妙に細かい。だが、彼らの写真を見た後だと、ふむふむ、こんな生活をしているのかと妄想できるので、非常に萌える。

 そんな女子的ミーハー心を満足させてくれるだけでなく、伝統工芸にかける思いが伝わるインタビューももちろんある。


職人男子 伝統に生きる僕たち