血のつながらない子どもを育てるという選択【里親編1】

単身者でも“親”になれる 厚生労働省に聞く、日本の里親制度の課題とは?

2015/12/10 17:00
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 現代の日本では、家庭での養育が困難になった0歳から18歳の子どもたちに、温かい愛情と正しい理解を持った家庭を与えることを趣旨に「里親制度」が運営されている。そもそも実子ではない子どもを預かり養育するという里親の概念は、平安時代に生まれたといわれており、「里親制度」として定められたのはいまから67年前の昭和23年。子どもを社会で守り育てる手段のひとつとして、時代を超えて今日まで受け継がれている。

 そこで、現代の日本における里親制度の仕組みとはどのようなものなのかを知るべく、里親にまつわる制度を定める厚生労働省の担当者に話を聞いた。

――里親には、いくつかのタイプがあるようですね。

担当者 里親には、主に4つの種類があります。「養育里親」「専門里親」「親族里親」「養子縁組里親」です。それぞれ簡単に説明すると、次のような分類になります。

(1)養育里親…子どもと血縁関係がなく、実親の養育が可能になるまで子どもを預かり養育する。
(2)専門里親…「養育里親」の中でも、特に、里親養育経験のある方が、より配慮が必要と認められるような虐待を受けた経験を持つ子どもや、非行行動や障害などを持つ子どもを養育する。
(3)親族里親…死亡や行方不明などにより、保護者による養育が期待できなくなった子どもを民法上の扶養義務のある三親等内の親族が養育する。
(4)養子縁組里親…将来的に養子縁組によって養親となることを希望し、子どもを養育する。


――では、日本における養育里親の要件について教えてください。

担当者 法令に定める要件のほか、お住まいの自治体で定める要件を満たす必要があります。法令では大きな枠組みを定めているだけですので、具体的にはお住まいの自治体の児童相談所(以下、「児相」)にお問い合わせいただければと思います。夫婦だけではなく、単身者や共働きの里親さんもおられます。

里親の認定基準は法律上、以下の要件に該当していることが必要。

(1)要保護児童の養育についての理解及び熱意並びに要保護児童に対する豊かな愛情を有していること。
(2)経済的に困窮していないこと。
(3)養育里親研修を修了したこと。

――養育里親になるためには、どのような手順を踏むことが必要なのでしょうか?


担当者 まず、自治体に申請をして知事や市長による認定・登録を受ける必要がありますので、お住まいの自治体(おおむね児相が窓口)にご相談ください。そこで里親制度について具体的な説明を受け、養育里親になることを希望される方だけでなく、委託された子どもと同居することになるご家族等の同意の上で申請をされることが望ましいです。申請が受理されると、児相の担当職員が要件を満たしているかを調査します。また、その間に里親制度等に関する研修を受講していただきます。それらの調査結果や研修受講状況などの情報を児童福祉審議会等で審議を行い、養育里親として認定されると養育里親名簿に登録されます。

――全国共通の手続きなのですか?

担当者 基本的な手続きは法令で定められていますので同じです。ただ、里親制度は自治体が行う制度ですので、子どもの最善の利益の観点から、自治体の判断等で養育里親として認定するための要件をさらに追加している場合もあります。

子どものいない夫婦のための里親ガイド