“消えたヘキサゴンファミリー”は今――元新選組リアン・森公平が語る「紳助引退の挫折」で得たモノ
――紳助さんの引退に際しては、相当ドタバタだったのでは?
森 発表の前日に事務所の方から聞きました。実は会見当日、新選組リアンはライブが入っていて、ほかのメンバーは本番直前に「これから紳助さんが引退会見を開く」といきなり聞かされたんですよ。その日の打ち上げは、最悪の雰囲気でしたね(笑)。
紳助さんについて行けば大丈夫と思っていたので、正直「なんでだよ!」とは思いました。引退後しばらくして、紳助さんから「いきなりスマンな。もう面倒見てやれんけど、いつまでも応援するで」とメールが来て、その後、落ち着いてからは連絡も取るようになり、最近でもたまに飲みに連れて行ってもらっていますよ。
――その後、新選組リアンは活動継続の道を選んだものの、14年に解散しました。
森 12年に事務所から「もう契約の更新はできません」と通達され、もう引退していた紳助さんに相談したところ、吉本興業に「面倒見てやってくれ」と口添えしてくれたんです。でも、そこから本当の挫折を味わうことになった。当時は「やっと自分たちの好きなようにできるんだ!」という思いもありましたが、実際にはうまくいかないことの方が多くて、そこで初めて「今まで自分たちは周りの人間に助けられていただけ」ということがわかりました。採算が見込めないからと、CDリリースさえできない状態だったんです。
――新選組リアンにとっても、紳助さんは必要不可欠だったということでしょうか?
森 結局、紳助さんの発案ありきのユニットだったんです。ライブは毎月必ずやって、何とか食っていけるくらいのギャラはもらっていましたが、各メンバーとの方向性の違いや確執もどんどん広がって……。僕は「新選組」ということで和のテイストを押し出したかったんですが、あるメンバーは「ロック色を打ち出したい」とか、「もっとジャニーズっぽい感じにしたい」とか。紳助さんがいなくなってしまったことで、完全に方向性を見失っていました。紳助さんがいた頃にはZeppツアー(Zepp 東京の最大キャパシティは約2,500人)も開催したんですが、その後、動員がどんどん減っていき、200~300人くらいのライブハウスに。多分、ファンの方にも「こいつらブレてんな」っていうのが伝わっていたんだと思います。
――現在は、どのような活動をしているんでしょうか?
森 今年から本格的に役者をやっています。出演した舞台で「やるべきことはこれだ」と思い、今は、バーでアルバイトもしながら、役者として食っていけるよういろいろ動いている状態ですね。来年は映画に出演できたらと考えています。
挫折で得たものは、人生の厳しさを知ったこと。でも、短期間で何度も挫折があったからこそ、ゼロから再スタートできたんだと思います。とりあえず、「僕はまだいるよ!」ということを知ってもらえたら。それに、デビューしてから6年間、ずっと応援してくれるファンの方もいるので、その方々のためにも、芸能界で頑張っていきたいと思っています。
森公平(もり・こうへい)
1988年生まれ。2009年、『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)の企画から、新選組リアンの一員としてデビュー。現在、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属し、役者業を中心に活動している。
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