カルチャー
日本にいながらアジアを満喫できる輸入食材店めぐり3

ベトナム、ラオス、カンボジア……多国籍の人が暮らす神奈川県最大の公営「いちょう団地」

2015/12/05 17:00

 旅に行きたくて、行きたくて、ウズウズしながらも、仕事が忙しく旅立つことができない働き者のみなさん。そんな時は、日本にいながら外国を訪れた気分が体験できる“外国人街”へ。ひと度、店の扉を開けば、聞きなれない外国語が飛び交い、日本とはまったく違うゆるい空気が流れ、なんだかいろんなことがどうでもよくなるはず。

 旅好きライターが、インド、タイ、ベトナムの外国人街があるとのウワサを聞きつけ、食材の仕入れと交流を楽しみに、プチ旅行気分で訪れてみた!

■難民を受け入れ始めたことから多国籍化

「金福」の店主キンプクさん

 インドタイと来て、最後は東京から少し離れ、神奈川県横浜市の小田急線高座渋谷駅から15分ほどにある、外国人が多いとウワサの“いちょう団地”へ。道中、手をつないだ南米風カップルが歩いていたり、スーパー帰りとおぼしき東南アジア系の男性たちが大きな袋をかかえ、2人で立ち話をしている姿を見かけ、確かに外国人が多いようだ。

 畑や住宅が広がり、本当に道は合っているのだろうか、と心配になるほど規則性のない道を進んでいくと、突如、川が現れ、その奥に無数の団地が目に飛び込んできた。何この多さ! 調べたところ、ここは神奈川県最大の公営団地で、1970年頃からベトナム人、カンボジア人、ラオス人などの難民を受け入れ始めたとのことで、今では多国籍な外国人がやってくるようになったという。そんな背景を持つ団地が日本に存在していたとは。

 知らなければ、非常にひっそりとして人の少ない団地にすぎないその周辺を散策していると、アジアっぽい看板がたくさん並ぶ、長屋のような建物を発見した。看板を見てみると、ベトナム料理、寿司屋、ベトナム輸入食材店、中華料理屋、カラオケスナックが並んでいたので、今回のお目当てである、食材店へ。

ベトナムらしい色使いとロゴの外観
ごっちゃごちゃの店内。けれど、フォーや生春巻きの皮、チェー(伝統スイーツ)の具になりそうなゼリーなど、ベトナム食材が自由気ままに並んでいて、駄菓子屋さんのようで、わくわくする

 この食材店「金福」の店主は福の神みたいな顔立ちをした、ベトナム人のキンプクさん。1981年に日本へやってきて、10年ほど前に、ベトナム人が経営していたラーメン屋の跡を借りて、お店を始めたという。カメラで撮影させてもらっていると、「コレ、撮って」と言われ、見てみると、ビニール袋に包まれたバナナの葉。何に使うのか聞いてみると「チマキ」とのことで、1枚が大きいのでカットしてご飯を巻くのに使うらしい。

なぜイチオシされたのかは、やや不明なバナナの葉
ベトナムの米粉麺フォーの種類もいろいろ

微妙に太さの違うフォーがたくさんあったので、この訪問を機にベトナム料理作りに励み、女子力を高めようと、キンプクさんにおすすめを相談することに。すると、フォーを作ったことはあるかと聞かれ、正直に「ない」と答えると「インスタントがカンタン、これがいい!」と、インスタント麺を手渡される。えっ、と思ったが、「スープもついてる、カンタン」とさらに念を押され、気づけばうっかりインスタント麺を購入してしまった。女子力上がらず。

[住所]神奈川県横浜市泉区上飯田町3173

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