サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー個性的を全否定する「美人百花」 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「美人百花」11月号 「個性的に見えないオシャレ」を堂々と掲げる「美人百花」の“ファッション”へのジレンマ 2015/11/11 18:30 女性誌速攻レビュー美人百花 ■「浮かない」の進化系は「個性」を殺す!? いかに「美人百花」ががんじがらめになっているかがわかる企画「個性的に見えないオシャレでカンタンな『色合わせ』カラーサンプル集」を見ていきましょう。「浮かない」「周囲に合わせる」といったキーワードは、ほかの女性誌でも頻出していますが、「個性的に見えない」というキーワードは、今までなかなかなかったのではないでしょうか。 具体的に「個性的」に見えてしまうかもしれない色に挙げられているのは、バーガンディやイエロー、ラベンダー、ブルー、グリーンなど。「美人百花」にとって馴染みのない色味だからこそ、コーデを工夫して、個性的すぎないように見せたいという狙いはわかるのですが、ひっかかるのは、個性そのものを否定している点です。 例えば、「美人百花」と同じアラサー向け女性誌「steady.」(宝島社)での「浮かない」ファッション特集は、「社会人としておかしくないか?」「上司に叱られないか?」といった視点によって構成されており、ファッションにおける“マナー違反”を恐れているとわかるのですが、「美人百花」が恐れるものは、単なる個性。個性的に見られることの一体何が怖いのかがよくわからないのです。 恐らく、社会で無難に生きるために個性をなくしたいのではないかとも思えるのですが、「この秋、モデルがオシャレに本気出す!」というページを読むと、その目論見が破たんしていると気付かされます。同ページでは、AKB48・小嶋陽菜、鈴木えみ、優木まおみなど「美人百花」のモデルたちが、自身の私服ファッションについて、「流行はポイントで入れて少し刺激を」「私のテーマはネオフェミニン」「シンプルに『ハンサム』が加わりました」など、ほかのページとはちょっと違い、芸能人らしい個性的かつこなれカジュアルなスタイルを紹介しているのです。 モデルたちの個性あふれるコーディネート企画と、無個性でフェミニンなコーディネート企画。その2つを読み比べると、ファッションのモードと、社会で無難に生きるために着る服の間にはかなりの深い溝があるように思えます。そしてその溝が1冊の雑誌に垣間見えてしまうところに、ファッション誌で「個性的に見えないオシャレ」を謳うことの難しさを痛感してしまいました。 (柴朋美) 前のページ12 最終更新:2015/11/27 17:20 Amazon 『美人百花(びじんひゃっか)2015年11月号[雑誌]』 個性を殺したオシャレって、もはや顔とスタイル頼みなんじゃ? 関連記事 深田恭子という女にあこがれる「美人百花」の“がんばらない”特集がズレているワケ「美人百花」読者は年収400万円!? 夢見がちな読者像と高収入のギャップが示すもの鈴木えみによる“着痩せテク”を特集、「美人百花」が時代からズレているところ「自分がどう見えるか」彼と街の視線を気にする「美人百花」の重すぎるファッション観キラキラ女子への誇大妄想!? 「美人百花」、疑問だらけの“広告代理店女子”信仰 次の記事 吹石一恵に嫌がらせ&怪文書! >