「個性的に見えないオシャレ」を堂々と掲げる「美人百花」の“ファッション”へのジレンマ
今月の「美人百花」(角川春樹事務所)によると、今年はミニスカ復活なんだそうです。ご丁寧に、プレスやスタイリスト、読者からの「ミニスカをオススメする理由」というコメントまで掲載する念の入れようですが、アラサー世代にミニスカは本当にはやっているのでしょうか?
<トピック>
◎今年はミニスカが大人っぽくなって復活です(はーと)
◎「絶対ハズさない本命コートだけ集めました!」
◎個性的に見えないオシャレでカンタンな「色合わせ」カラーサンプル集
■「美人百花」流ミリタリーコートの着方とは?
ミニスカのオススメコメントを見てみると、「スタイリストさんからのリース率がハンパない」「展示会でオーダーされる」「トレンドアイテムのロングブーツとの相性がいい」「身長の低いSガールでもはきやすい」といった声が上がっていました。確かに、「スタイリストさんがよく借りていく」と聞くと、本当にはやっているのかも……と思いますが、疑わしいのは、「昔っぽく見えないアラサー向けコーデをまずはイチからお届け!」という言葉。ここに、「美人百花」に常につきまとう“コンプレックス”が表れているような気がしました。
そのコンプレックスとは、フェミニンなスタイルを求めている読者が多いのに、カジュアル優勢の今、フェミニン=ちょっと昔っぽく、ダサく見えてしまうというもの。実際の「美人百花」読者もまた、雑誌が抱えるジレンマと同じような悩みを抱えているのではないでしょうか。
「絶対ハズさない本命コートだけ集めました」という特集でも、チェスターコートやダッフルコートなどの定番に加え、パステルカラーのコート、部分ファーコート、ヒロインに見えるダウンコート、ケープ風コートなど、流行とは違った女の子らしいスタイルを紹介しつつ、フェミニンとは正反対な「こなれ」要素を捨てきれず、ミリタリーコートもクローズアップ。ただ、そのミリタリーコートをハードな雰囲気では着こなせないからか、「レディに振るのが鉄則!」とフォローの一文が。この迷走する誌面には、「女の子っぽくしないと、自分が自分でなくなる」「男の人にレディじゃないと思われるのが怖い」といった読者の不安すらも感じとってしまうのです。
それならもう、読者も「誰がなんと言おうと、私はレディで行く!」と宣言して、また「美人百花」もそんな女性のバイブル的雑誌になれればいいのですが、そこまで振り切るのはまだまだ難しいようです。