半目・いびき・大の字はNG! 熟睡中にまで“可愛い”を要求し、女子を追い詰める「ar」
先月号では、表紙を飾った女優・有村架純に「arはどの雑誌よりも、色があって独自の路線を確立されてるイメージ」「arは振り切っているイメージもあるんですが、女の子が大好きな“キュン”をする世界観を表現していらっしゃる」と、とってつけたように賞賛させていた「ar」(主婦と生活社)。今月号も新垣結衣に「アールのカバー初登場、光栄です! 明確なコンセプトがあり、振り切っている印象があるので……」と言わせていました。「振り切っている」という言葉がよほどお好きなようですが、さて今月号ではどんな振り切り方を見せてくれているでしょうか。
<トピックス>
◎男の子のハートに寄り添うおフェロ顔
◎寝起きが一番セクシーって言われたい
◎とってもビューティな服&小物
■結局、モテるのは我の主張をしないすっぴん風
今月号は、「可愛い」をテーマとしたビューティ特集号。「男の子のハートに寄り添うおフェロ顔」という企画では、モテメイクを指南しています。「王道MOTE全盛り顔」「お色気顔」「甘えんぼ」「小悪魔ちゃん」「ツンデレオンナ」「TAKANE上品」といったタイプに分けているのですが、全てに共通することは、やりすぎ禁物。“淡く”“軽くて涼しそう”“丁寧”“がキーワードとなっています。“振り切ってる”と評価されているはずの「ar」ですが、「結局、そこに行き着くか」と肩すかしな内容でした。
さらに、メイクに対する男性の意見を紹介しているのですが、これがまた言い古されたような“さりげなさ”“薄さ”“素っぽさ”を信仰する言葉ばかり。
「まつ毛はすごく長いんだけど、アイラインは少ししか引いてない、みたいな薄盛り系の目元がいいと思うな」
「生っぽい肌は近づいた時のツヤめき感がとてもエロい」
「ちょっとタレ目だったり、頬はふわっとピンクっぽかったり、父性をくすぐる幼さ?みたいなものに弱いかも」
「○○だけど、○○にあらず」という禅問答のような難題の押し付けばかり! そんなに“うっすらピンクの生っぽい肌”が好きなら、ハダカデバネズミでも抱いて寝てろと言いたいですね。こうした男の意見通りにメイク法を極めていくと、最終的には、細部まで作り込まれているが、それを感じさせないさりげなさ、といった職人芸というか、ニッポンのものづくり的な話になってしまう。ただ、そういうストイックなメイクは、ほかの美容専門雑誌でやればいいんじゃないかと思うのですが、どうなんでしょうか。タレントを使って「振り切っている」と言わせて自画自賛するだけでなく、きちんと形で“振り切っている”「ar」を表現してほしいと思います。