サイゾーウーマンカルチャーインタビュー『笑う介護。』20代から親の介護の実態 カルチャー 『笑う介護。』著者インタビュー 20代で親の介護、30代で育児と介護―『笑う介護。』岡崎杏里氏「自分の人生をあきらめない」 2015/11/08 19:00 インタビュー ■親の介護期間は「ニート」とされる ――ヤングケアラーはどういう問題を抱えているのでしょうか。 岡崎 ヤングケアラーの存在は、まだ社会から見落とされていると感じます。制度としても守られていません。私も父が倒れたのがもう少し早かったら、大学も続けられなかったでしょう。一家の大黒柱が若くして倒れると、経済的に立ち行かなくなるんです。うちのように自営業だとなおさらです。介護のために学校や仕事を辞めざるを得ないヤングケアラーもいますが、なんの援助も受けられません。介護が一段落して就職しようとしても、職歴がないと「ニートだったんでしょ」と言われて、採用してもらえなかったという話を聞いたこともあります。 ――厳しい状況にあるヤングケアラーのために、どうしたらいいと思いますか? 岡崎 職歴はなくても、その間の介護をキャリアとして認めてもらえるような制度ができればいいですね。すぐに現場で活躍できるぐらい知識も技術もあるヤングケアラーだっているんですから。介護者の気持ちもよくわかっています。 それから、育児をしながら介護もしているダブルケアラーだと、祖父母と同居していると保育園に入園が難しいケースもあるようです。介護している人が子どもを預けられる育児サービスがあったらいいと思います。 ――これから増加していくであろうヤングケアラーやダブルケアラーに、心に留めておいてほしいことは? 岡崎 人生をあきらめないでください。ときには心を鬼にしてでも、自分の人生を第一に考えてほしいと思います。今、将来のことなど考える余裕もないかもしれませんが、これから先も今と同じ状態が続くわけではありません。人生の切り替えどきは必ず来ます。ショートステイを始めたとか、ヘルパーさんが来るようになったとか、ちょっとしたきっかけをとらえて、外に出るだけでもいいので生活を変えてみてほしい。親を看取ったあとも、人生は長いんです。 ――岡崎さんは今後どうしたいですか。 岡崎 今、父と息子の絡みが楽しいんですよ。これから息子が成長していくと、普通の祖父と孫の関係とは違ったものになるでしょう。それを面白がってみたいですね。『笑う介護。』もそうでしたが、つらい介護もちょっと視点を変えてみると、面白がって、笑って楽しめるのではないでしょうか。 前のページ123 最終更新:2015/11/09 14:43 Amazon 『みんなの認知症 (成美文庫)』 親は必ず老いるのに、それを忘れてしまう 関連記事 「がんばっていると母に認めてほしいのかも」認知症の母を介護する娘の痛み老後はすぐにやってくる! 親の介護に独り身の老後、それぞれの現実問題「親子の愛憎劇の幕引き、憎いなら憎めばいい」親の介護で繰り返される業倒れた親は施設か家か、延命はどうする? 問いの中で“親の介護”を描くマンガ3冊『ペコロスの母に会いに行く』岡野雄一氏の、「親と距離を置くことで救われる」介護 次の記事 SM女王様に聞いたスキンケア >