「本能に従え」と説く「ar」のモテ特集、「男はやっぱりコンサバが好き」と矛盾した方向に……
「自分の好きなものやスタイルを貫き通した方がいいと思うし、ハナシが早いと思う! 万人と関わるわけじゃないし、万人受けを狙っても仕方ない」
「(最近の女の子は)だいぶ好きなファッションをするようになってるよね? 男子ウケ考えてる子、減ったような気がする」
先ほどの「YES! WE ARE 雌ガール!」でも、「愛したいのは一人だけ。その人にさえモテればいい。それが一番、シアワセだよ(はぁと) 想い想われることが、オンナとしての至上命題。あれこれ万人ウケを狙う必要がないから、目標がすっきりシンプルになってすごくラクで気持ちがイイ、ファッションもメイクも生き方も。自分の“好き”は大事にしつつ、相手の好みにも少しずつ歩み寄って、シアワセ指数をどんどん上げていく」とあります。
言いたいことはわかるのですが、これを雑誌の企画に落とし込むのは難しい。案の定、「おフェロなモテキの着方」では、「ある日突然、たくさんの男の人にモテちゃったら……!?」「おしゃれ業界人からスポーツマンまで、様々な男性にモテまくっちゃう夢の1ヶ月」という妄想のもとコーディネートを紹介。最後に、“大好きな彼”の家で目覚めて、モテていたのは夢だった、というオチなのですが、結局はいろんな男にモテたいんじゃねーか、と思いました。
さらに衝撃的なのは、「信沢Hitoshi コレ、モテるっしょメイク!!!」というメイク企画。いつもはイガリシノブというヘアメイクアーティストによるチーク真っ赤のコテコテのおフェロメイク一辺倒の「ar」なのですが、どういうわけか今月号ではそれを全否定しています。信沢は次のように語ります。
「一般的な男性の本心はきっと、血色系のおフェロメイクよりもコンサバでナチュラルなメイクに引き寄せられていくんだと思う。ちょっと悲しいけどね…男の人って保守的な生き物なんだと思う…。だから本気でモテを狙うなら、できるだけ控えめなメイクの方が安全だし、難しそうに見えない“簡単な感じ”をあえてアピールするのが正解。そうすると男性は“すっぴんが見てみたい!”っていう気持ちになったり、“俺より3歩下がってくれる女子”を勝手に連想しちゃうんです」
この一言で全てが瓦解しました。“ありのままで本能に従って一人の男性を愛する”なんて理想を掲げても、結局は「一般的な男ウケ」を狙うのが安全。セックスした後の紅潮を思わせるおフェロメイクや、3歩下がる気のないガツガツしたメス女は男から見たらアウトなんですよ。これが現実だと叩き付けられたような気持ちになりました。
(亀井百合子)