サイゾーウーマンカルチャー漫画レビュー『プリンセスメゾン』が描く幸せの指標 カルチャー 『なんかおもしろいマンガ』あります ~女子マンガ月報~【8月】 「誰の心もいらない」幸せを説く『プリンセスメゾン』、関係性の息苦しさをほぐす処方箋 2015/08/31 21:00 『なんかおもしろいマンガ』あります ◎必読! 谷和野先生の第2短編集『魔法自家発電』 『魔法自家発電』(小学館) ほかにも今月はおもしろいマンガが盛りだくさんです。期待の新鋭、谷和野先生の短編集『魔法自家発電』(同)は、前作『いちばんいいスカート』(小学館)のさらに上を行くクオリティ。人の心の痛みと、その浄化を描く美しい物語たちは、きっとあなたの心に染み渡ることでしょう。表題作と「2人時間」が超オススメです。 入江喜和先生の『たそがれたかこ』(講談社)は、5巻に入ってますますの神展開。たかこさんの人生初ライブ体験を描く今巻は、どきどきとわくわくと、そして生きることの喜びにあふれています。これもまた「自分以外の誰の心もいらない」幸せの1つであり、レジスタンスとしての幸せであります。 同名の小説の見事なコミカライズである猪狩そよ子先生の『和菓子のアン』2(白泉社)は、もっと多くの人に読んでもらいたい上質なエンタメ作品です。和菓子がテーマなのですから、その美しさ、おいしさを十全に伝える絵があるに越したことはないわけで、猪狩先生の絵はそれを完璧に実現してみせています。楽しくて、心温まる作品です。 さらに話題作の安藤ゆき先生『町田くんの世界』1(集英社)は今後のブレイク必至。勝田文先生の『マリーマリーマリー』2(同)を読めば結婚に対するわだかまりが消えるかも? そして余談ではありますが、現在発売中の「フィール・ヤング」9月号(祥伝社)の西つるみ先生『そうだ、食べ放題いこう。』に、私がゲストとして登場しております。本作は、テーマが食べ放題でありながら、登場するのはおいしいお店ばかりなんですよね。私のことはさておき、今回も西先生がとても愉快にまとめてくだっさったので、ぜひぜひご一読ください。 小田真琴(おだ・まこと) 女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題が欲しかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14竿を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「SPUR」(集英社)にて「マンガの中の私たち」、「婦人画報」(ハースト婦人画報社)にて「小田真琴の現代コミック考」連載中。 前のページ12 最終更新:2015/09/07 19:12 Amazon 『プリンセスメゾン 1 (ビッグコミックス)』 全女性への祈りであり賛美歌だね 関連記事 女子マンガに登場する「不倫」する女たち——『あなたのことはそれほど』『おんなのいえ』女子マンガ代表・雁須磨子『右足と左足のあいだ』が描く、男女の“言葉”のズレの妙味「食」を打ち出すマンガにご用心! グルメマンガ旋風、本質は『孤食ロボット』にアリ!断絶されたSF/ファンタジーを少女マンガに取り戻す、『クジラの子らは砂上に歌う』相次ぐマンガ誌休刊の中、“売れるマンガ”の役割と少女マンガ誌の危ういスタンス 次の記事 SMAP・中居、マスコミ尾行に辟易 >