29歳で仕事を捨ててパリへ! 「BAILA」登場の雨宮塔子に見る、アラサー女子の落とし穴
その一方、「抱負や目標を教えてください」という問いには、「キャリアアップ!やるときはやる」「好きな仕事で第一線で活躍できる人になりたい」「心に余裕を持った女性になること」など、「今現在の仕事でステップアップする」という現実的な目標を掲げている人は少ない印象。月の残業時間10時間が悪いこととはまったく思いませんが、2011年、求人情報・転職サイトDODAが発表した、25~29歳女性の平均残業時間は24.3時間、30~34歳女性の平均残業時間は17.9時間。ここから見えてくる女性像は、雑誌が掲げる「プライベートより仕事」というテーマとは真逆の、仕事よりもプライベートを優先するバイラーズの姿です。「やるときはやる」という漠然とした言葉に、明確なキャリアアップのビジョンを持つ「Oggi」(小学館)の“バリキャリ”路線との違いを感じました。「頑張る!」と言う割には、なかなか行動には移せない……そんなバイラーズたちに、「成長するってそんなに簡単なことじゃないよ」という警鐘を鳴らすために、生まれた企画だったのかもしれません。
■それを地で行く雨宮塔子
毎回「そう来たか!!」と思ってしまう、“人選センス”が光る連載「カッコイイ先輩列伝」。今月号の先輩は、元TBSアナウンサーの雨宮塔子さんです。29歳で人気アナウンサーの職を捨て、「自分で立ち向かって解決する―そんな私が目指す大人の女性」になるため単身パリへ。実は26歳頃から「何かが違う」という感覚が生じており、「本当は自分が何をしたいのか、何が好きなのかを考える時間が欲しかった」のだそう。パリでは、荷物が届かなかったりと、「日本では考えられないようなことが日常茶飯事」の生活を送っていたようで、しかもそれを1人で解決していく経験を積んだことで、強い女になることができたのだとか。しかし、パリで暮らすうちに「そこまでかたくなにいる必要もない……」と考え方にも変化が生まれたそう。
この流れは、まさに先ほどの「アラサーがむしゃら期」と、その先のさらなるステップアップの成功体験。ともすると、アラサーで「本当は何がしたいのかわからない」と思うことは、「地に足がついていない人」と思われそうで、キャリアが順調であればあるほど、口には出しにくい事柄です。雨宮さんも相当悩んだと思いますが、バイラーズの「仕事に対してがむしゃらになり切れない部分」もまた、そういった「本当は何をしたいのかわからない」という煮え切らない思いからなのかもしれません。まあ、彼女のように「来月から会社辞めて渡仏します!」と何もかも捨てて高跳びできる人は少ないでしょうが……。
ところでその後、雨宮さんは31歳でパティシエの青木定治さんと結婚するわけですが、文中にさらっと「実は雨宮さんは、今年三月に離婚を経験した」という記述を発見!! 「BAILA」発売日の1週間後に、所属事務所が離婚を明らかにしたようですが、あれ? こんな重要なこと、さらっと言っちゃってよかったのか? やはりパリで強い女になった方は一味ちがう。そんな彼女はかに座ではなく、やぎ座のO型なのでした。
(ルイーズ真梨子)