女性週刊誌が報じた、安倍首相の“いい人ぶりっこ”と「戦後70年談話」の中身
だがもう1つ、安倍首相にとって重要なことがある。それが9月に行われる総裁選だ。これまで党内は敵なしで無投票再選を目論んでいた安倍首相だが、安保法案審議以来の支持率低下で無投票再選に赤信号が灯っていたからだ。石破茂地方創生相や野田聖子前総務会長の出馬がうわさされる中、これ以上の支持率低下はどうしても阻止したい。もし再選されなければ、それこそ安保法案自体がどうなるかわからないからだ。
そのため、70年談話や非核三原則、辺野古については譲歩した。そう、だからこそ大谷の言うように騙されてはいけない。70年談話にしても「植民地支配」や「侵略」についても十分に謝罪したかというと実はそうではなく、逆に日本人の甚大な被害を強調し、「子どもたちに謝罪を続ける宿命を負わせてはなりません」といった言葉も「もう十分謝罪しただろう。今後は謝罪しない」と取れるだろう。そんなトリックが随所に散りばめられていたからだ。
今回の「週女」記事は1頁のものだったが、こうした権力者の欺瞞を暴く記事を、今後もどんどんやってほしい。女性週刊誌の読者の底上げ、男性層の取り込みにも大いに役立つはずだ。
一方、「自身」も70年談話に関する記事を掲載しているが、それは3位で後述するとして、まずは川内原発再稼働問題だ。
多くの反対の声があるにもかかわらず、そして先の福島原発事故の原因も不明で、誰も責任をとることなく再稼働されてしまった九州電力・川内原発だが、川内原発に関しては福島とは違う大きな懸念材料がある。それが火山の存在だ。その危険性に切り込んだのが、今回の「自身」記事だ。
九州には巨大カルデラ火山が5つあり、その5つのどこかに過去と同様の巨大カルデラ噴火があった場合、いずれも川内原発に影響を及ぼすという。神戸大学でマグマ学を研究する巽好幸教授によると、こんな衝撃なシミュレーションデータが存在するという。
「最悪の被害想定では、九州だけで700万人が死亡。ほぼ日本全域を火山灰が覆い、大阪で50センチ、東京では20センチ積もる」
しかも原発事故ともなれば、その火山灰には放射性部質が含まれるのだ。どのような事態が起こるか、考えただけでも恐ろしい事態だ。さらに、「巨大カルデラ噴火予知」について、火山学会や火山学者の多くが「できない」と言っている。現在の観測体制では予知は無理だし、そもそも前兆現象がどういうものなのかという基礎データなどないからだ。