噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第276回】

国民的アイドルの櫻井翔、総務省トップの櫻井俊の誕生でマスコミに生じる“二重の縛り”

2015/07/28 21:00
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「週刊女性」8月11日号(主婦と生活社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 北朝鮮の拉致が疑われた男性が33年ぶりに関西地方で“発見”された。事件や事故ではないというから家出だったのだろう。こうしたケースはまだあると思われるが、実際の拉致問題は一向に進展する気配がない。2年前、安倍首相は拉致問題を最重要課題であり、安倍政権下で解決すると大見得を切った。しかしやっていることは真逆で、北朝鮮の態度を硬化させるものばかりだ。安保法制で、拉致問題はどうなるのか。大きな弊害の一端がここにもある。

第276回(7/24~28発売号より)
1位「田中聖 『小説家の夢、結婚観、変わった俺…』初告白70分!!」(「女性自身」8月11日号)
2位「櫻井翔のパパは5000人以上の部下を持つ官僚のトップ」(「週刊女性」8月11日号)
3位「錦織圭の新恋人は玉森裕太の元カノだった!!」(「週刊女性」8月11日号)

 いやはや。2年前に事務所を解雇された、お騒がせジャニーズの田中聖が「自身」に登場した。ジャニーズを辞めるとアイドルもメディアもこれほど自由になるのか(笑)。いや、田中の初著書『田中聖/10845』(宝島社)のプロモーションか。

 いずれにせよ「自身」のインタビューを受けた田中だが、内容も驚きのイメチェンぶりだ。連日飲み歩いているイメージの田中だが、最近では音楽一番の生活で、お酒を飲むのも月1回ほど、ボイストレーニングに通い、家でもパソコンで作詞活動。その豹変ぶりに編集部も驚いたようで、「すごく『真面目』という印象を受けます」と感想をもらすと、これまた優等生的答え。


「いまは自分にうそをついちゃいけないときだし、絶対に逃げたり甘えちゃいけないのかなと。人生の分岐点というか、ここでドロップアウトしたら、たぶん二度と這い上がれない気がするんです」

 ジャニーズという大きな後ろ盾を失い、自立するとこうなるのか。しかも自炊までしているらしいし、服ももっぱらH&M。そして東日本大震災のときには被災地へ物資を届け、虐待された猫を保健所から引き取ったという、なんとも“いい人”エピソード満載なのだ。

 人は変われるのか、それとも一時的なものか、それともメディアの取材だからか。そんな邪な疑念があるが、ここはひとまず田中の前向きさを信じよう。そして残念なのは、田中ではなく編集部だ。記事のタイトルにはデカデカと「小説家の夢」との文字が。これはおそらくピース・又吉直樹のことを意識してのものだと思うが、しかし田中が語ったのは、現在や将来のことではなく、過去のちょっとしたエピソードだ。

「昔、小説にすごくハマっていた時期もあったんです。(略)実際に書いてみたら“難しいな”って(笑)」

 これだけのものを、大きくタイトルにしてしまう。話題性抜群の又吉にひっかけようとしたのだろうが、それにしては内容がない。何より田中に失礼でもある。そういえば、今週の「週女」にも嵐・二宮和也が小説を書きたいと意欲満々との記事があるが、しかしタイミングを失しているという、とってつけたような記事だった。


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