人気歌手にも政治があるっていういい見本

勘違いが起因のテイラーVSニッキー、収束したものの周囲を含む人間関係に大きなヒビ

2015/07/24 21:30

 このテイラーのツイートに、ニッキーは戸惑いつつ速攻で反論。「はぁ? アタシのツイート読んでないでしょ。アナタの名前なんて一言も書いてないけど。アタシもアナタのことが大好きよ。でも、ちょっとこの発言については見逃せないわ」と、テイラーに返信した。ニッキーのファンも、「みんな、ニッキーの主張を誤解している。本当に残念」とツイートし始め、ニッキーも「ほんと、みんなはアタシが何を言いたいのかわかってないのよね。私の主張をミスリードするの。いつものことよ」「テイラーのことなんてなにひとつ言ってないのに。なんでボコられなきゃなんないの? 白人が支配するメディア、彼らの戦術。本当に残念」と、黒人差別問題をニッキーVSテイラーにしたがるメディアへの憤りを爆発させた。

 しかし、テイラーは相変わらず前後のツイートを読んでいないようで、「ニッキー、もし私が受賞したら、授賞スピーチのステージにぜひ一緒に上がって!!! 私が立つステージはあなたのものでもあるの。いつでも、よ」と勘違いも甚だしい超上から目線のツイートを炸裂。これを面白がったメディアは、2人のビーフだと煽った。

 この報道に興味を抱いたのが、最優秀ビデオ賞にノミネートされたブルーノ・マーズ。呼ばれもしないのに顔を突っ込み、「ちょっ! このTwitterビーフにオレも参加させてよ!! VMAは新しいWWFってか! エド・シーランめ、ファック・ユー!」とツイート。ちなみにWWF(現WWE)はアメリカ最大のプロレス団体のことで、エドの名前を出したのは同じく最優秀ビデオ賞にノミネートされているから。指名されたエドは、仕方なくといった感じで、「オレたちのディスり合いじゃ物足りないと思うよ」と軽くあしらうツイートを投稿した。

 ニッキーはメディアの誤報にさらなる憤りを表しつつ、黒人差別だという主張を理解するファンやネットユーザーに対して、「音楽界の裏事情を理解してくれてありがとう。テイラーが(音楽配信共有サービス)Spotifyから抜けると絶賛され、アタシたちが(音楽配信共有サービス)TIDALを立ち上げると足を引っ張る」とツイートし、あらためて黒人が差別され、白人ばかりがたたえられている現状を訴えた。

 22日になると、「ニッキーは黒人差別を訴えてるのに、テイラーが勘違いしてる」という状況が明確となり、メディアも「ニッキーが一体なにを主張しているのか」と報じるように。イギリス人ジャーナリストのピアーズ・モーガンは、「ミナージュさん、人種差別のカードを使うのはいかがなもんかな。あなたは本当に手に負えない人だね。あなたのビデオはテイラーのビデオより劣るというだけの話でしょう?」と、自身が書いた記事のリンクをツイート。そもそもニッキーの「アナコンダ」は下品で賞に値しないという声も上がるようになったが、ここでテイラーの宿敵、ケイティ・ペリーが参戦する。


 ケイティはTwitterに、「女性を侮辱し、引きずり下ろすことを売りにした作品を制作した人が、“女性同士を対立させるのはやめましょう”って誇示する。皮肉だわぁ」とツイート。テイラーの「バッド・ブラッド」は女同士の争いを歌い、MVも同様の内容。また「バッド・ブラッド」はケイティへの宣戦布告を歌ったものだとウワサされていることから、そんな曲のMVが最優秀ビデオ賞にノミネートされたことに、ケイティは腹を立てていたのかもしれない。

 その後、テイラーの大親友であるエド・シーランが、またまた状況をかき回すことに。英タブロイド紙「Daily Telegraph」の取材を受けたエドは、「みんなテイラーが悪いわけじゃないってわかってるさ。彼女が自分をノミネートさせたわけじゃあるまいし。彼女はただ最高のビデオを作り、それをみんなが高く評価したってことだろ?」とテイラーをかばい、「ニッキーの主張は、ちょっと余計なことっていうか。彼女の主張は、“最優秀ビデオ賞にノミネートされるにはスリムな白人じゃなきゃダメ”ってことだろ? でもさ、ビヨンセもノミネートされてるんだよ。女性らしい体つきを全面的に出してるようなビデオでさ」とニッキーを批判するような発言をした。

 この発言はネットで話題になり、「ニッキーの人種差別に関する発言を、“余計なこと”って!」とエド叩きが始まったのだが、エドは「違うよ。そんなこと言ってないじゃないか」とTwitterで慌てて反論。大親友のエドが攻撃を受けていることに驚いたのか、テイラーは「私のことかと思ったの。なにを主張していたのか見逃し、誤解し、間違った発言をしてしまったわ。ニッキー、ごめんなさいね」と潔く謝罪。約1時間後、ニッキーが「テイラー、ありがとう。その言葉、とてもうれしいわ」とハートマークの絵文字をつけてツイート。そして、12分後、「アタシはいつだって彼女のことが大好き。誰にも間違いはあるものよ。今回のことでアタシは彼女のこと、これまで以上に尊敬するようになった。さっ、前に進みましょ」と丸く収めた。

Bruno Mars X-Posed