カルチャー
じゃんぽ~る西さん×西村・プペ・カリンさん夫婦対談(前編)

愛の表現が真逆な日仏夫妻が語る、「恋愛を遠ざける日本」と「家族の価値を失わせたフランス婚」

2015/07/15 14:00
「子どもができたら結婚すべき」という考えで一致しているご夫妻

■フランスのこじらせ男子は、18歳で恋愛に目覚める!?

――『モンプチ 嫁はフランス人』にもあるように、じゃんぽ~るさんは思春期に異性を強烈に意識してしまい、女子とは話さない一方でAVなどで歪んだ性知識を得る、「童貞をこじらせる」タイプだったんですよね。日本では程度の差こそあれ、割と多いタイプだとは思うんですが、カリンさんはこれをどうご覧になりました?

カリン フランス人も一緒。高校生の頃に、女の子と話さなくなるタイプはいますよ。でもフランス人の場合は、ある日ガラリと変わります。日本人は、ずーっと同じ感じで年を重ねるのかな。

――それは、どういったタイミングで変わるんですか?

カリン フランスでは18歳で成人とされるんですが、そのタイミングかな。大学に行くなり、自活するなり、家を出るんです。

じゃんぽ~る フランスにもオタクはいるんですよ。服はイケてないし、マンガが好きだし。でも、フランスはもともと生身のコミュニケーションが多い。電車でも他人同士でしゃべってるし、ビズ(互いの頬を合わせ疑似キス、相手によっては軽いキスをするフランス流のあいさつ)があるし、同性・異性どちらともスキンシップの機会は日常的にある。そういう素地があるから、18歳になって「そろそろ変わらないとな」と思うきっかけさえあれば、簡単に変われる。あとはカップル社会ということも大きいですよね。パーティーはパートナー同伴ですし、例えば同窓会みたいなものがあれば、必ずパートナーも連れていく。自分の友達はパートナーの知り合いではないからと誘わないでいると、そのこと自体が理解できないみたいですよ。男同士・女同士で集まることもないみたいですし。

カリン だから日本の「女子会」はビックリしました。なぜ、男性を排除するんですか? 男性がいないとつまらないでしょう。ホテルやレストランでも「レディースプラン」があるけど、それでは出会いがなくなっちゃいますよ。あれはみんな怒るべき。

――確かに、日本人が自然に受け入れている物事が原因で、知らず知らず恋愛を遠ざける社会になっているかもしれないですね。

カリン 出会いは自然にあります。でも日本人は仕事の時間は仕事、ご飯を食べに行く時間はご飯と、目的意識が強すぎてそれしか見ず、“偶然”を無視してる。本当は、そこでいろんなことが起きているはずなんです。ご飯を食べに行ったときに、近くに素敵な人がいるかもしれない。出会いは、そうやって日常の中に自然とあるものだと思います。そうして出会い、愛し合った延長上に結婚があるはずです。

■家族の価値を保つのが難しい“フランス婚”

――フランスには、日本で俗に「フランス婚」と呼ばれる民事連帯契約(PACS)があり、結婚にはこだわらないという風潮があります。お2人がフランスにいたら、この制度を選択しましたか?

カリン 私は、子どもができたら親は結婚すべきだと思っています。今フランスでは、子どもの半分が結婚していない両親から生まれています。PACSすら結んでない、一緒に暮らしているだけのカップルも多いので、親カップルは嫌なことがあったらすぐ別れてしまう。そうすると、子どもは家族がどういったものかがわからないまま育ってしまうんです。フランス社会の象徴だなと思ったのは、フランスで見たコマーシャルです。モデルは4人家族なのですが、パパとママ、パパと前の彼女との子どもと、新しくできた子ども。それがCMのモデルになるぐらい、一般的になってしまった。

じゃんぽ~る 親が別れると、家族がバラバラになるんですよ。僕は家族の価値を信じているので、フランスみたいに親個人の意思・欲望を尊重しすぎて、子どもがいたってパートナー関係を解消するのは当たり前、という考えには賛同できないですね。

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