光浦靖子×ジェーン・スーが悩める女子に喝! 「“マウンティング女子”なんてただの消費文化」
お悩み相談本『お前より私のほうが繊細だぞ!』(幻冬舎文庫)の光浦靖子と、『ジェーン・スー 相談は踊る』(ポプラ社)のジェーン・スー。ともに著書で相談者の心理を鋭く突いている2人が、現代女性の悩みの根源とその解決法について語り合った。
ジェーン・スー(以下、スー) 私は体が大きいし、声もでかいし、自己主張もするし、子どもの頃からみんなと騒いでいても怒られるのは決まって私だけで、“異形感”を持っていたんです。でも、大学生のときにアメリカに1年留学して、あまりに最高でびっくりしました。人種が多様なんでOKの範囲が広く、私が埋没できるんです。埋没した上で自分らしさが出せる。そのときはモテましたね。本当に驚きました。
光浦靖子(以下、光浦) 他人と違っても放っといてくれるのはいいですね。アメリカ、行きたいな。
スー 帰国したら少しずつですが意識が変わって、なんとなくそんなに卑下しなくてもいいと思うようになり、“異形感”と徐々に距離が取れるようになりました。
光浦 悩んだときは「世界は1つじゃない」と肝に命じることは大切ですよね。
スー 学校にも自分と似たような友達はいて、“チーム異形”のようなものが自然とできていました。その中では、フルスイングでいける気持ちよさがありました。
光浦 わかる。私も高校のときブスばかり集合して楽しくて、強くなっちゃった。1人じゃないというときの無敵感はすごい。
スー でも、その無敵感は、完全なる無力感とセットなんですよね……。
――無敵感という意味では、今は悩んでいてもネットを見れば「発言小町」や「Yahoo!知恵袋」などの相談サイトに同じような悩みを持つ人がいて、解決策もたくさん出ていて安心できますよね。また、SNSを使えば同じ悩みを持つ人と手軽に連帯できて、強くなれるように思います。
光浦 「発言小町」ってなんですか。存在すら知らない。私は、生身の人間に相談したほうがいいと思いますけどね。だって生身の人間とのトラブルに悩んでいるわけでしょう。人間の脳みそは優れているから、目線のちょっとした動きや言葉の上がり下がりで、文字の情報以上のものを感じ取れる。ネットなんて、生身の人と会話するのに比べたら圧倒的に情報量が少ないと私は思う。
スー ネットは、匿名の場は基本的に人のイヤなところが出やすいし、実名の場は普段よりも盛られてるということが、みんなわかってきたはず。
光浦 いや、いまだに日本は匿名の意見を大事にしすぎですよ。怒りのはけ口にしていたり誹謗中傷だったりすることが明らかなのに、みんなすぐ信じるでしょう。
スー 確かに、「その正論は、ネット以外のどこで行使するのか」と思うことは頻繁にありますね。ネットをまったく見ない友達と話すと、ネットで話題になった炎上事件も知らないし、ネット上の有名人も知らない。それこそ世界は2つあって、ネットを見ない人にとっては存在しない世界なんですよね。
光浦 飲み屋のおっさんが、「正義の反対は相手の正義だ」と言っていたんですが、私はその言葉を肝に銘じて生きています。