[女性誌速攻レビュー]「Gina」7月号

「ドMのブサイク男」を推奨し、目標は「ベッカム一家」とのたまう「Gina」の不一致

2015/07/04 19:00

■引き裂かれる「Gina」ガール
 さらに今月号には「カップルだってセレブがお手本!?」という特集もあります。オリヴィア・パレルモ×ヨハネス・ヒューブルと、ケイト・ボスワース×マイケル・ポリッシュが「Gina」ガールのお手本として紹介され、「目標とすべき大人カップルズ」では、ベッカムファミリーを代表とするオシャレファミリーを紹介するスケールのデカさ。目標にしたい、ではなくて「すべき」ですよ。やっぱり、「Gina」ガールが目指す未来(男)はこっちなんですね。「ドMでブサイクでいい人」をゲットしたら、こんなページは遠い目で見るしかありません。ブサイクいい人を推奨するならベッカムを引っ込めて! あるいは、「ブサイクでダサい彼でも“オシャレ”になれちゃう」特集とかでフォローをお願いします!

■男の次はカネ問題
 今月号は「人生、楽しんだもん勝ちでしょ 休日だってリア充な(笑)シティガール」や、「28歳からが始めどき!私たちの新ライフスタイル」といった、季節柄でしょうか、ファッションというよりも、ライフスタイル特集が盛りだくさんでした。「Gina」の眩しいところは、読み物ページでも「実録・こんなイラッと上司が!」みたいな仕事での掃き溜めをぶちまけるようなページがないところ。「人生、楽しんだもん勝ちでしょ」の一文からもわかるように、ネガティブな思いはなかったことに、常にポジティブでヘルシーな空気が誌面にあふれています。修造カレンダーもローラも売れ売れだし、時代が求めているんでしょうね、このナチュラルなポジティブさ。

 「28歳からが始めどき!私たちの新ライフスタイル」では、スタイリストとブランドディレクターのお二人が、日差しのたくさん入る広々としたお家で、グリーンや食器にこだわり、おしゃれな犬と暮らすキラキラまぶしい様子が紹介されています。「オシャレ過ぎるライフスタイル」と紹介されてるのはその通りですが、そのまんま「カネがかかっているライフスタイル」にしか見えません……。28歳から始めたところで、一体何歳になれば完成するんでしょうか。GUの服で「高見え」を狙うジーナガールには、とてもじゃないけど真似できそうもありません。

その点、その次のページの「ブランドプレスのリア充LIFEを公開」では、「パン屋巡りLIFE」や「ヨガLIFE」「陶器ラブLIFE」など、お金もあまりかからないし自分のペースで少しずつ取り入れられる、現実的なリア充生活のススメでした。あこがれのライフスタイルも見せつつ、今すぐに取り入れられる身の丈にあった風景もきっちりおさえる。こういう「Gina」の目線は好感度◎。やっぱり、高見えよりも身の丈が「Gina」らしいんじゃないですか?
(白熊春)


最終更新:2015/07/04 19:00
『Gina 2015年 07月号 [雑誌]』
アパレル業界のおしゃれ夫婦信仰は根深い