サイゾーウーマンカルチャースポットセーラームーンの原体験が生む女子の強さ カルチャー 「セーラムーン女子VSとんねるず男子(仮)」イベントレポート 「仕事も恋も諦めないのが当然」セーラームーンの原体験が生む女子の強さと生きづらさ 2015/06/28 19:00 スポット (左)稲田豊史氏と(右)ラリー遠田氏 「セーラームーンの誰が好きだった?」という一言から、3~4時間は余裕で同世代と熱く語れるアラサー女子はかなり多いだろう。武内直子原作の漫画『美少女戦士セーラームーン』は、前世、月のプリンセスだった中学生の月野うさぎが、仲間とともに地球を襲う妖魔と戦うバトルヒロインもので、90年代少女漫画の金字塔とも言える作品だ。1992年に講談社「なかよし」での連載とテレビ朝日系列でのアニメ放映がスタートするやいなや、劇場版映画、グッズ、ゲームといったメディアミックス展開を通して、当時の少女たちから爆発的人気を博した。 テレビアニメ放映期間が92~97年、同作品に熱中していた少女たちが当時4~10歳だとすると、彼女たちは1982~93年生まれ。2015年時点で「28歳プラスマイナス5歳くらい」の女性と仮定できる。その世代を「セーラームーン世代」と名付け、同作品が彼女たちの人格形成にいかに影響を与えたのかを紐解いた本が、5月に出版された。編集者・ライターの稲田豊史氏著『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)である。 同作品の発売を記念して6月11日、稲田氏と、石橋貴明の「ヤンキー的」ハッタリと松本人志の「オタク的」センスを比較考察した『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コアマガジン)を発売したばかりのお笑いライター・ラリー遠田氏のトークイベント「セーラムーン女子VSとんねるず男子(仮)」が阿佐ヶ谷ロフトAにて行われた。2人はかつて、お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長(ラリー氏)、副編集長(稲田氏)を務めた間柄だという。 ■セーラームーン世代は「仕事ができる」!? 旧知の仲という背景もあるのか、『セーラームーン』自体ほとんど知らないラリー氏は、終始「40歳という妙齢の男性(稲田氏のこと)がセーラームーンですよ! 僕だったらできないですよ」と、会場のお客さんに笑いまじりに訴えた。稲田氏は元々大のアニメファンであり、『セーラームーン』のアニメシリーズが放映されていた高校生時代、リアルタイムで視聴していたのだという。しかし、周りの男友達はもとより、同年代の女子で『セーラームーン』について語れる人などいなかったようだ。 本書執筆のきっかけについて稲田氏は、ただファンだったからではなく、セーラームーン世代の女性と仕事をする機会が増えてきた中で、「とても仕事ができる」と感じたからと語る。そこでとあるウェブメディアに、セーラームーン世代のアラサー女子社員の仕事観を解析したコラムを書いたところ、それを見た出版社から執筆の依頼がきたという流れだ。 ただ稲田氏は、本書を、過剰にセーラームーン世代を持ち上げる方向性には持っていきたくない意志があったという。「稲田さんはセーラームーン世代にとってのタキシード仮面ではないの? バラを投げてあげないの?」というラリー氏のイジりに対して、「頑張る女性を応援! ってなんか偽善でしょ。この世代は仕事できるし、すごいなとは思うけど、あくまで興味の対象というか。考察したいという見方なんですよ」とキッパリ断言。応援して“あげよう”という視点ではなく、フラットな目線で考察された本なのは、女性読者も手に取りやすいのではないだろうか。 12次のページ Amazon 『セーラームーン世代の社会論』 関連記事 タキシード仮面が体現した、乙女の性エネルギー“オカズ”としてのヒーロー像「あした、なに着て生きていく?」キャッチコピーが示す、女子の“気分”とファッションの“空気”『男をこじらせる前に』湯山玲子×『ルポ 中年童貞』中村淳彦が語る“男の病理”「女」が女を批評するワケ――水島広子×小島慶子が語る、女のしんどさ「日経記者なのに元AV女優」鈴木涼美が語る“夜のオネエサン”へのレッテルと、キャラとしての私