「婦人公論」で、弱者のフリをする林真理子と説教をかます江原啓之から学ぶべきこと
今号の「婦人公論」(中央公論新社)の特集は、「イヤと言えないときの上手な断り方」です。表紙で仁王立ちする沢口靖子は「NOと言える中高年」のイメージなのでしょうか。リードにも「気の進まない誘いや頼みに、ハッキリ『NO』と言えればいいのだけれど、相手の気持ちを害さず納得してもらうのは難しいもの」とあります。
人間関係を壊さずに自分の意志を伝えるさまざまなテクニックが紹介されている中、気になったのは「“ごめんなさい”は大和言葉で柔らかく」です。「できるだけ相手の気持ちを損ねることなく、少しでも先方の心が慰められるような言葉」として、日本固有の大和言葉が推奨されています。「お心にかけていただき、ありがとうございます」「心苦しいかぎりです」などは定型句として日常的に使えそうですが、核心である“NO”を表す言葉が「どうにも、体が言うことを聞きません」「私には荷が勝ちます」「しっくりいかないので」……完全拒否かつぐうの音も出ない秀逸なラインナップ。「婦人公論」世代に「どうにも、体が言うことを聞きません」なんて言われたら……。都合の悪いときは、とりあえず体のせいにしておく、それは中高年が許された数少ない特権なのです。
<トピックス>
◎特集 イヤと言えないときの上手な断り方
◎頭の良さを測るゲーム。それが人づきあいです
◎「老後の住まい」の幸せな選択
■林真理子が“気配りの人”という出オチ
特集の冒頭には作家・林真理子×脚本家・中園ミホの対談「頭の良さを測るゲーム。それが人づきあいです」があります。林の小説が中園の脚本でドラマ化されることも多く、プライベートでも仲が良いという2人。「服を見に行って試着すると、断りづらくて買ったりしちゃう」という林と、一方「服でも誘いでもダメなときはダメと、ハッキリ断る」中園。そんな対照的な両氏がお互いを誉めそやしながら対談は進みます。
面白いのは、自分は気配りのできない人間だとする中園が「林さんは不良の私とは違って、学級委員みたいに気配りできる方だから、ちゃんとなさっているはず」「林さんは人の心を読む天才。だからこそ、こちらがああいえば向こうはこう言う、こう言えばああ考える、というのをすべて見通したうえでお話しになるのは、さぞ大変だと思います」と林に気配りをし、気配り上手なはずの林はそれを否定することなく「男性とのつきあいでも、相手がどう思っているか全部読めちゃうから、すごーく嫌なの。(中略)私の周りのおじさんたちは中園ファンばかりで、あなたを誘いたいとき、私に声をかけてくるのよ」となんとも答えづらい返しをしているところ。全然気配りの人ちゃうやんけ!