サイゾーウーマンコラム母の認知症疑惑……離婚して地元に戻った一人娘が、「間に合った」と思った理由とは コラム 介護をめぐる家族・人間模様【第53話】 母の認知症疑惑……離婚して地元に戻った一人娘が、「間に合った」と思った理由とは 2015/05/30 16:00 介護をめぐる家族・人間模様 Photo by Naoharu from Flickr 先月『7男2女11人の大家族石田さんチ』(日本テレビ系)が放送された。私も含め大家族番組のファンは多いが、石田家は老舗格だ。末息子も19歳、美容学校に通っていて、子育ても終了間近。これからは大家族としての波乱はあまり期待できないだろう……と思いきや、ちゃんと用意されているんですね。母ちゃんの実母が認知症なのだ。数年前から発症はしていたが、今は母ちゃんが毎晩実家に泊まり込むほどに進行しているらしい。番組的にはオイシイのだろうが、一人娘の母ちゃんにとっては、子育てが終わってホッとする間もなく介護に突入というわけだ。大家族のメリットを生かして、使える人は使って介護も乗り切ってほしいと思う。子育ての講演だけじゃなく、介護の講演もできるぞ。 <登場人物プロフィール> 一ノ瀬 初美(46)2年前に離婚し、北海道の実家で両親と暮らす 一ノ瀬 俊之(20)初美さんの息子。自閉症で、現在はグループホームで暮らしている 一ノ瀬 伸太郎(78)初美さんの実父 一ノ瀬 登美(75)初美さんの実母 ■父が浮気していると訴える母。もしかして認知症? 実家で両親と3人で暮らす一ノ瀬さんには結婚歴がある。元夫、一人息子と20年以上東京で暮らしていたが、2年前に離婚して北海道にある実家に戻った。 「私は一人娘だったので、東京にいてもずっと両親のことが気がかりでした。でも、なかなか自由に実家に帰ることができなかったんです」 一ノ瀬さんの一人息子は重度の自閉症だった。養護学校の長期休暇を利用して実家に連れて帰るのも、息子の状態を考えると難しかった。 「帰省できるのは数日。息子をショートステイに預けられるときだけでした。それも事前に予約しないといけないので、急に何か起こっても帰省するのは無理でした。両親が若い頃は、東京へに遊びに来てもらっていましたが、年を取るにつれてそれもだんだん難しくなりました」 両親は体のあちこちが痛いとは言っていたものの、年相応でそれほど深刻ではなかったというが、一ノ瀬さんには1つ心配なことがあった。 「母の精神状態です。定年まで小学校の教師をしていて、定年後も地域のボランティアをするほど活動的な人だったんですが、5年ほど前から、電話すると『お父さんが浮気している』『女のところに入り浸りだ』などと言うようになったんです。それ以外はまったくおかしなところはありません。父はものすごく真面目で、浮気なんてできる人じゃありません。もしかして認知症の始まりなのかもしれないと思うようになりました。一度病院に連れていった方がいいのではないかと思いながら、息子のこともあってどうすることもできず、もどかしい思いをしていました」 12次のページ Amazon 『家族関係を考える (講談社現代新書)』 関連記事 「たかが籍だと思っていた」姑の最期を看取った後妻は、お通夜と告別式から締め出された「故郷なら言葉が通じる」母親のお骨とともに故郷に戻ってきた父親「夫にも義父母にも上から目線」ご近所トラブルの火種をまく母に、娘は……「手厚い介護は誰のためなのか?」“高学歴ヘルパー”が抱える懐疑心「老後は弟の病院で世話になるつもり」夫を頼りにする義姉たちに戸惑う医者の嫁