カルチャー
「おとなのオリーブ」トークショー

「おとなのOlive」が鮮やかに描き出した、“自分の好きをみつける”「Olive」のメッセージ

2015/04/24 17:00

■「Olive」復刊制作の舞台裏

 今回の「おとなのオリーブ」の巻頭は「Forever」という撮りおろしと、当時のページをコラージュしたページだが、当初はコラージュという発想はなかった事実も明かされた。大森さん曰く、「Olive」を読み返していたら、「今あってもおかしくないな」と感じるページがどんどん出てきた。ただ、それだけを載せるのは懐古主義でよくない、だったら「撮りおろしと合わせて、1つのファッションストーリーにしていくと面白いし、必ずできる」という確信の元、なんと、スタイリストは一企画に1人だけという常識を破り、飯田珠緒さんと岡尾美代子さんを合わせた計4人で一緒にスタイリングすることにしたという。

「もう、気分はバンドのライブ感覚! 全員でいくつかコーディネートのパターンを作るんだけど、これは撮影現場でまたライブ活動をするしかないね、と撮影日に委ねて。当日は天気の心配もあったからスタジオを借りていたんだけど、やっぱり、ロケじゃないとダメ! 海に行くしかない、と(笑)」(近田)。

 小沢健二の連載「ドゥワッチャライク」が、「2199年のドゥワッチャライク」として復活したことも、今回大きな話題を呼んだ。広告や資本主義を批評したシニカルな原稿だけに「よく『GINZA』で掲載したね、エラい」という声もあったそうだが、中島編集長は「それくらいのキャパはあるわよ」とニヤリ。また、近田さんからは「オノ・ヨーコ」をテーマにスタイリングを手がけた際の秘話も語られた。

「例えば『VOGUE』調に、大きいハットと眼鏡で“オノ・ヨーコファッション”っていうのは、もう全然『Olive』じゃないので。彼女の『grapefruit』という言葉によるアート作品集を元にスタイリングしたんです」(近田さん)

 そこに書かれた近田さんの長めのテキストも印象的だった。例えば、「絶対のないこと。常識のサイズ・在り方、ジェンダーを嗤ってみよう。後ろ前に着たメンズのワークコート」のようなキャプションにいたるまで、胸に迫るものがあったと中島編集長。「スタイリングもボタンにパンジーを挿していて、『そうそう、Oliveってこんなだった~!』とみんな思ったんじゃないかな」(中島編集長)

 大森さんは、「いまの若い子が読む雑誌ってカタログぽいというか、『明日着ていく服』みたいな切り口が多い」と分析した上で、「だから、こういう誌面ってどんな風に読まれるのか気になっていたけど、反響を知ると、今回やっぱりちゃんと伝わっているんだと、うれしくなりましたね」と感想を述べた。

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