上西小百合議員の“たれ目メイク”に憤る友近――「女を出すな」の忠告に募る疑問
上西議員のオンナを使う作戦は、必ずしも彼女のアイデアではないと思う。辞職勧告が聞き入れられなかったことを受けて、大阪維新の会、橋下徹代表は「(初当選時)29歳だった女の子が、初当選すると2年でこうなってしまうのか」とキレぎみに述べた。この発言には、上西議員を女性ではなく、格下の「女の子」だと思っていることがわかる。美人刺客と名高い上西議員だが、演説も満足にこなせないなど、当初から適性を疑われてもいた。その際、橋下代表は「愛嬌でカバー」とごまかしていたが、この例をとっても、上西議員に求められているのが、政治能力ではなく、かわいい「女の子」な部分であることがわかる(余談だが、維新の会の公認候補は、元グラドルや美魔女ファイナリストなど、美のエリートであることが多い)。タレ目メイクは、年齢より女性を幼く見せ、守ってあげたい印象を演出するためだそうだが、上西議員のしつこいまでのタレ目メイクは、党の方針である「女の子」を実現するための「お仕事」なのではないか。
言っておくが、私は上西議員を擁護しているのではない。彼女に政治家として適性はないと思っているが、どうしてオンナを使う女ばかりが重用されるかについて考えないかが、不思議でたまらないのだ。
日本は、大企業の女性管理職や政治家の数が極端に少ないことで知られている。これは日本の将来を決めるのは男性であり、女性は「従う性」であるという意味だ。かつて中村うさぎは、「婦人公論」(中央公論新社)で、比喩表現として、「女性の政治家はパンツを脱いでいそうな雰囲気がある」と述べたが、後ろ盾のない女性が政治家になろうと思ったら、また政治の世界で上に行こうと思ったら、権力を握る男に「公認していただく」「ポストを与えていただく」必要があるのだから、致し方あるまい。女性政治家が少ないということは、女性の声が国政に届かないのはもちろん、男にとって都合がいい女が重用されるということなのである。
上西議員個人へのバッシングは続くが、どうすれば女性から見て信頼できる女性政治家が増やせるのか。どうすれば地盤看板カバンのない優秀な人材が選挙に出られるのかについて、誰も
論じない。
友近は、他番組において、枕営業をする女性芸能人を告発批判していた。仕事に色気を持ち込むな、自分は正々堂々実力でやっていると言いたいのだろうが、枕営業を受けた側、見返りを与える側(男性)のことは決して批判しないのが、なぜなのだろう。枕営業は男と女、両者の合意があって初めて成り立つものであるのに。
男が選んだ女が不祥事を起こし、それ見たことかと女が女を叩き、それを見た男が「女って怖い」と笑う。この悪循環から、そろそろ脱却する時が来ているのではないだろうか。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
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