仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

北斗晶を“ガン無視”する辻仁成に感じた、ナルシストを愛してしまう女のナルシズム

2015/04/02 21:00
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恐らく二度と見たくないであろう「Before」

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「何か言ったわ!」辻仁成
『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系、3月24日放送)

 バラエティ番組において、ナルシストは重宝な存在である。本人の発言自体がおかしいし、それをいじることによって、さらに大きな笑いを起こすことができる。今、一番“売れている”ナルシストキャラは、芥川賞作家で中山美穂の前夫、辻仁成だろう。

 女性週刊誌で連載中の料理コラムが評判の辻だが、3月24日放送の『解決!ナイナイアンサー!』(日本テレビ系)で、北斗昌の所有する畑で取れた野菜を使って、腕前を披露する企画に参加した。辻は、ジャケットとシャツ、細見のパンツと、どう見ても畑仕事に向かない服装である。畑仕事の最中も、料理中もシャツの袖をまくらず、帽子も取らない(別番組で見た時も、ジャケットの袖から、レーシーなシャツの袖を出していたので、こだわりがあるのかもしれない)。

 この企画のために、パリから調味料と辻がよく料理で使っているという「七つ道具」を持参する(メイクアップアーティストが筆を収めるような巻くタイプのポーチに収納)が、道具の1つである木の“棒”を、北斗昌が「何これ?」と手に取ると、辻は触れてくれるなとでも言いたげにすぐに奪い返していた。


 自分の見た目にこだわり、自分の物には触れさせない。わかりやすいナルシストぶりだが、「この人、本当にナルシストなんだなぁ」と思ったのは、辻が度々北斗のことを無視することである。

 北斗が、辻の持つ“棒”について「これ、うちの庭にも落ちてるよ」とツッコんだ時も、フランス製の塩の匂いを嗅いだ北斗が、「鼻がでかいから、匂いがよくわかる」とボケた時も、辻は何も言わない。北斗が「だから、何か返して!」と肘で小突くと、冒頭のように「何か言ったわ!」発言するが、番組を見る限り、辻は何も発言していない。

 なぜ、ボケもツッコミも無視するのか。辻には「相手を面白くする」というサービス精神がないからである。自分の言いたいことだけ言えば、もう満足で、相手のことはどうでもいいのだ。

『中山美穂 パーフェクト・ベスト』