サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「ar」のモテ思考がツライ カルチャー [女性誌速攻レビュー]「ar」2月号 ド根性美容、尽くすダッチワイフ論、自己満足のバレンタイン……「ar」のモテ思考がツライ 2015/02/01 16:00 女性誌速攻レビューar 「可愛いより“欲しい”。そんなオンナになれたら最強で最高」 女子の世界で最高の賛辞と思われていた「可愛い」は、男に選ばれる女子という概念を前に、あっけなく散りました。さらに次のような文章が! 「ぎゅ~と抱きしめた時、ふっかふかな触感をプレゼントしてあげられるふわふわ&とろとろのコーディネートを、彼と過ごす時間のユニフォームに認定」 「角質もムダ毛も感じさせないツルツルボディをキープすることはルールを超えてマナー」 「肌と肌を重ね合わせた時のじわんと微熱を帯びたような血色感を宿した顔つきこそが、視覚で“俺のモノ”と錯覚させる表情」 ふっかふかな触感でツルツルボディの“俺のモノ”……つまりはアケミちゃん(from日本エレキテル連合)ですよね。でもって、「男のコの好きなものって、びっくりするくらい単純。たとえば豚汁や豚のしょうが焼きみたいに、定番家庭料理に目をキラキラ輝かせてくれるんだよね」とも書いてあります。要するに、昼は家政婦、夜は娼婦。その境地に行き着いたオンナが「ar」においては「最強で最高」ということがわかりました。恋愛観が完全に昭和です。 ■バレンタイン作戦のオチがひどすぎる ここ数年でリア充のイベントはハロウィンに移行し、バレンタインはスイーツ好きがチョコを食いまくるための口実に変わりつつありますが、「ar」ではいまだにバレンタインに告白したり、彼氏とセックスしたりという風習が残っているようです。「バレンタイン応援隊、結成!」というページでは、バレンタインの作戦について、読者の声などが紹介してあります。 「手作りチョコに失敗はキンモツ。気合を入れて、1か月以上前から自主練しました!」 「コッソリ彼の好みをリサーチするために、カフェとか、甘いものが食べられるところに連れていきまくりました(笑)」 「(ファッションは)THE・清楚な感じにまとめる!! そしてギャップを与えるべく、本番1か月前くらいから、カジュアルな服装を意識していました(笑)」 「いかにも義理チョコみたいなのを渡して『あ、これか…』と思わせたところで、『実は』と手作りチョコを渡す。さらに帰り際にプレゼントを渡してコンプリート!」 と、当日だけではなく、ずいぶん前からリサーチだの服装だのプレゼントだの作戦を練っているようす。まじか!? これだけでも「ar読者ってどんだけヒマ人なの?」と驚愕しきりなのですが、それに対する男の声に心が震えました。 「手作りチョコは日持ちしないから、早めに食わなきゃいけなくて辛い…」 「チョコをもらえればもちろん嬉しいけど、“ガチすぎる”と、ちょっとな…と思う」 「もらったチョコが有名な高級チョコだったみたいで、どれだけすごいチョコなのかをドヤ顔で説明されて、萎えました…」 もらっておいてこの発言。手作りも、ガチな愛も、高級チョコの出費も、ぜーんぶ意味ナシ。もうバレンタインなんてスイーツ女子だけで楽しめばいいよ、と言いたくなりますが、それでも読者は手間ひまかけて準備するんでしょうね。前述のド根性美容主義といい、尽くすダッチワイフ礼賛といい、この無意味なバレンタイン作戦といい、このままいくと「ar」読者は、着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んだりしちゃいそう。都はるみですよ! オンナはオトコに尽くし、選ばれ愛される存在であれ。この刷り込みは、なかなか抜けないんだろうなあ。 (亀井百合子) 前のページ12 最終更新:2015/11/26 23:58 Amazon ar(アール) 2015 年 02 月号 [雑誌] 「シミ・体毛・色むらのない体」の刷りこみは女性誌最大の罪 関連記事 3日間洗わないオイリーヘアを目指せ? 「ar」が得意のヘア企画で無茶難題を提案感情を解き放って「自分が満足状態にあること」=モテだと促す、「ar」の残酷さ“雌ガール”と“おフェロ”推し「ar」は、女が女を愛でるための雑誌彼氏いない歴、平均6年9カ月! 読者の恋愛離れを受け止めきれない「日経ウーマン」の罪「AneCan」に染み付いた、エビちゃん&もえちゃんの呪縛と“ワンランク上の女”目線 次の記事 訪問看護師の抱えるジレンマ >