高橋ジョージの「離婚の言い分」が体現する、モラハラの構図と加害者の論理
当たり前だろ。意図的にモラハラしてたら大問題だし、だから男ってやつは、という見事なコメント。相手が思っているからモラハラなの! セクハラなの! さすがはジョージである。そしてジョージは記者に対しても上から目線だった。「せっかく来てくれたから、2つだけ話すよ。録音もしていいよ」と語り始めた内容は――確かに意外なことだった。
ジョージによれば一昨年(2013年)、夫妻は土地を買ったらしい。自宅の隣の土地が売り出されたため、そこに姑(三船の実母)の家を建てることにした。お金は姑と三船、そしてジョージが3分の1ずつ出した。予定通り、そこに姑用の豪邸を建てた。そこにはジョージ用のスタジオスペースも作った。だから、とジョージは主張する。「長年、妻が(モラハラで)苦しんでいたというなら、こんなことはないと思います」と。モラハラがあって悩んでいたなら、自分の母親の家を夫婦の家の隣になんか作らない。夫婦の間に問題はなかったとの言い分だ。
それでもって、ジョージはさらに主張する。「(姑と)家を建てるときに、いろんな価値観の違いでもめました」。妻の三船はその板挟みになった。だから問題は“婿姑”の問題だと。確かにある意味ジョージが言うことは正しい。しかしそれはあくまでモラハラをしている男の論理だ。モラハラを受けている女の心理をわかっていない(男女が入れ替わっても同じだ)。
一緒に家を建てたことを決めたとしても、三船の心は揺れていた。普通だと思っていた夫の束縛や説教だが、やっぱりおかしい。自分が悪いと思ったけど違うかも。これってモラハラ? ずっと束縛されているのは嫌だな。でも子どももいるし、これまで信用し、好きで16年間も一緒にいた夫だ。自分の母親にも良くしてくれる。でも――。モラハラを受けているストレス、嫌悪は、一気に襲ってくるものではない。日常生活の中でじわじわと襲ってくるものだ。何か別なきっかけがあったかもしれないし、姑の新居のことも原因かもしれない。徐々に一杯になるコップの水がついにあふれてしまった。
ジョージが一緒に家を建てたのだからモラハラで苦しんでいた訳ではない、不思議だというのは、あくまでモラハラしている強者、加害者の論理で、被害にあっている側の気持ちではない。ジョージの魔法が解けちゃったんだな。
「わからない」「不思議」と語るジョージ。納得いかないジョージ。自覚のないジョージ。だからこそモラハラの問題、構図が浮かび上がってきて興味深いインタビューとなっている。
そして「週女」である。今回の離婚問題について「モラ夫の正体」という記事にした「週女」だが、“付属”として布川敏和が登場、離婚について語っているのだが――。