「男を甘やかす」と「家事も完璧」女はセット、安彦&田房の「甘やかされ男」問題
<1月15日>田房永子
■「甘やかされ男」問題とセット、女たちの「結婚しても仕事、家事は完璧、夢もかなえる」思想
(C)安彦麻理絵
深刻ですよね、「甘やかされ男問題」……。確実に、1980年代の団塊世代とその上の世代による男の甘やかしが、現在2015年のさまざまな事象へ影響及ぼしてる!
小学生の頃、お母さんが働いてる子がクラスに1人だけいたんですけど、その子のお父さん、いっつもクーラーの効いた部屋で寝ながらテレビ見てたんですよ。どんな顔か知らないけど、「○○ちゃんのお父さん」の後ろ姿(寝大仏のポーズ)は熟知してる、って感じですね。つまり妻がいない間に子どもの友達が遊びに来ててもその体勢を一切崩さなかった、ってことですよね。
別に病気とか夜勤とかじゃなくて、本当にただ横になってテレビ見てる、という状況だったんですけど、今になって思えば、あの寝大仏の光景は、その他の大人から漏れ聞こえる「女が働きすぎると男は働かなくなる」とか、「働かない男はダメ」とかのセリフとセットで頭にこびりついてます……。昔は専業主婦が当たり前だったから、そういうフレーズが大人の間でめっちゃ飛び交ってたんでしょうね。さらに、私の周りの大人の女たちはみんな「結婚・出産したらオフコース即専業主婦=自分の人生なんて捨てます」街道をひた走る人たちで、表向きはそうしていても、内面の鬱憤は相当なものだったと思うんですよ。「エイコちゃんは、結婚しても仕事するのよ! 男を当てにしちゃだめ! でも男を甘やかしてもだめ! そして男にお金があるってことを知られちゃだめ!」ってめっちゃ言われました。
そのおかげで「仕事は必須!!! でも男より稼いじゃだめ! 家事は完璧に、男が気持ちよく働いてくれるように、送り出すんだわ! だけど私の夢もあきらめない!」っていうもはや人間の域を超える目標立てちゃってたんですね。
結婚した時、その呪いが表面化したんですよ。ネット廃人になっちゃったんですよね。一人暮らしのマンションから、夫が住んでるところに引っ越すことになってたんだけど、荷造りする気にまったくなれなくて、当時突然開発された「ときめきメモリアル」のオンラインゲームとかヤフーの無料ゲームで童貞としか思えない男たちとチャットで会話しながら簡単なゲームをして、「マーガリン入りバターロール3個入り」のみ食べ続けるという、自ら脳を溶かす行為を24時間体勢でやるようになって、ボロボロでした。
今思えば、あれは抵抗だったんじゃないかと思います。前世代から受け継いだ「結婚したら人生終わり感(夫を立てる家事地獄)」を全身で感じてたんだと思うんですよね。だって、私ゲーム全然やらないのに、あの時だけやめられなかったんですよ……。