日本一“便秘”を診ている医師に聞く、「ヨーグルトのビフィズス菌って効果あるんですか?」
――気温も便秘の要因になるんですね! もはや便秘が当たり前の状態で、なにが原因かもわからず、そのままにしている女性も多いです。
小林 便秘を放置しておくと、腸内で腐敗して毒素を出し、その毒素が体へ悪影響を及ぼします。肌荒れやむくみ、さらには体臭や口臭がひどくなる場合もあります。腸内環境が乱れると免疫力も低下しますので、いまの時期だと、風邪やインフルエンザなどにかかるリスクも高まります。最近では、腸の「悪玉菌」が大腸がんや腸の炎症と関連しているなどの研究も進んでいますが、「悪玉菌」のかたまりである便をすぐに排出することが健康維持のためには必要です。
――便秘だと、病気にかかるリスクが高まるんですね。
小林 便秘予防としては、腸内環境を整える内側からのケアを提案しています。そのカギは「ビフィズス菌」と「食物繊維」です。ビフィズス菌は大腸で酢酸を産生し、腸のぜん動運動を促すため、便秘改善に効果があります。ビフィズス菌は、もともと腸内にいる菌ですが、加齢とともにその量が減少していくんです。
――悪玉菌やビフィズス菌はCMなどでよく耳にしますが、そんなに体にとって重要なんですか?
小林 20代後半から30代の女性は、本来であればビフィズス菌量は十分なはずですが、食生活の乱れや食制限のダイエットでビフィズス菌のエサとなる食物繊維が不足するなど、ビフィズス菌が減少しやすい状態だといえます。ビフィズス菌量は乳児の頃が最も多く、離乳期から徐々に減り始めますが、その後40代頃まではほぼ一定の量を保ちます。しかし、50代に入ると急激に減少し始めるんですよ。
――加齢も便秘の要因なんですね。
小林 そのため、ビフィズス菌を外から補うことも必要です。しかし、腸内で働くためには、腸まで生きて届くことが重要だと考えられています。生きて腸まで届くビフィズス菌としては、BE80やBB536、LKM512などが挙げられます。さらに、ビフィズス菌を腸内で増やすにはエサが必要です。それが「食物繊維」です。食物繊維には、「不溶性」と「水溶性」の2種類の食物繊維があり、エサにとって理想的なバランスは不溶性2:水溶性1。その理想的なバランスで食物繊維が摂れる食品のひとつに、キウイがあります。
――自分の食事の面倒すら見られてないのに、腸の菌のエサまで気にしなきゃいけないんですか……。ヨーグルトも、いろいろ種類がありすぎて選べません。
小林 おすすめなのが「ビフィズス菌入りヨーグルト」+「キウイ」です。腸内環境を整えるビフィズス菌とそのエサのキウイを、手軽に摂ることができます。ヨーグルトは高生存ビフィズス菌が配合されたタイプを選ぶのもよいでしょう。この組み合わせを「スーパーヨーグルト」と呼んで、患者さんにもおすすめしています。便秘が解消されると、痩せたとか、肌がきれいになったとか、喜ぶ患者さんも多いんですよ。
小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部附属順天堂医院教授。日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、数多くのトップアスリートや芸能人のパフォーマンス指導を行っている。便秘改善のスペシャリストとしても知られ、順天堂大学医学部附属順天堂医院で大学病院として日本で初めて便秘外来を開設。