「道を歩いてたところを……」マイク・タイソンが児童性的虐待被害を告白
ボクシング元ヘビー級世界チャンピオンで、「人類史上最強の男」とまでいわれたマイク・タイソンが、子どもの頃に性的虐待を受けたことがあると激白し、大きな反響を集めている。
アメリカで治安が最も悪いとされるニューヨークのブルックリン区ブラウンズビルに育ったマイクは、おとなしくシャイな子どもだった。近眼でレンズの分厚い眼鏡をかけていたことからいじめの対象となり、唯一の友達はアパートの屋上で飼われていたレース鳩たちだった。絵に描いたようないじめらっれ子だったマイクは、9歳のとき、いじめっ子が愛鳩を殺したことに逆上して殴り倒し、自分が強いことに気づく。環境ゆえか、その後の彼は不良の道を突き進み、12歳のときにニューヨーク州最悪とされるトライオン少年院に収監された。更生プログラムの一環でボクシングを始めたところを、名トレーナー、カス・ダマトに見いだされ才能を開花。父親と息子のような強い信頼関係を結んだカスのためにマイクは血のにじむような努力をし、チャンピオンとなった。
しかし、カスが亡くなってから悪名高きプロモーター、ドン・キングに目をつけられ一気に転落。プライベートで数々の問題を起こすようになり、強姦事件で裁判を受けたり、WBA世界ヘビー級王座戦で相手の耳を噛み切り失格負けしたりと醜態を晒し、2005年に事実上引退した。
引退後もコカイン所持で逮捕されるなど問題行為で世間を騒がせたマイクだが、09年に幼かった娘を亡くしてから心を入れ替え、今ではレース鳩をこよなく愛する“おもしろいオヤジ”としてテレビやラジオに出演。全米から愛される存在となっている。
そんな“史上最強の男”だったマイクが、子どもの頃に性的虐待されたことがあると告白したのだ。
29日、ラジオ番組『Opie Radio』にゲスト出演したマイクは、世間やメディアが思っている自分と、実際の自分は大違いだと語りだし、「カメラに映らないオレの過去、幼少時代なんて知りやしない。世間やメディアはオレのことをこれっぽっちもわかっちゃいねぇ」と発言。子どもが1人で歩けないような危険な地区で育った自分は、「いじめられ、性的虐待だってされてたんだ」と激白した。
驚いた番組ホストのジム・ノートンが、「性的虐待をされたとき、いくつだったんですか?」と質問すると、マイクは「ガキの頃だよ。7歳だ」と回答。「加害者は同じ年頃の子ども? それとも年上の……」という問いには、「ジジイだったよ」。「被害を受けたのは1回だけ? それとも頻繁に?」と聞かれると、「1回だけだ」と言い、「手当たり次第に子どもを襲うタイプの男だったんだね」というジムの言葉に、「あぁ。道を歩いてたオレを捕まえやがったのさ」と説明した。
ジムは、「えっ? 道を歩いているところを?」と驚き、「男は行為が終わった後に解放してくれたんですか?」と質問。マイクは「いや、走って逃げたのさ」と答え、「こういうことがあるとエゴってもんが……自分と友達になってくれるわけよ。たくさんの芸能人がエゴを持ってるけど、それは彼らにとっての悪魔や恐れているものを、エゴが和らげてくれるからだよ。周りの人間は、その人のエゴを恐れるだろうけど、そのエゴこそが悪魔から自分を守ってくれるもんなんだよ」と、“他人のことを配慮しない利己/自己主義”という意味のエゴイズムについて持論を展開した。
ジムは性的虐待を受けたことについて話を戻そうとし、「性的虐待された後、警察に通報した?」と質問。マイクは、「いいや」と声のトーンを落とし、「性的虐待を受けたことで、大きな変化はあった?」という問いにも、「あったかどうかなんて、覚えちゃいねぇよ」「そんなこと、いつも頭の隅にあるわけじゃねぇし」と答えた。「性的虐待を受けた被害者の中には、自分を守るためにその記憶を消すという防衛本能があるけど……」とまとめるジムに、マイクは「まぁ、忘れてるときがほとんどだ。別に性的虐待されたことを恥ずかしいと思ったり、恥じたりしてるわけじゃねぇけどよ」と発言。ジムに「素晴らしい」「立派ですよ」と言われて、マイクは満足そうな表情を浮かべた。