サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー正しい老後への怯える方は? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」10月22日号 「老後に怯える」ことの本質を捉えた、「婦人公論」のぴんぴん老後特集 2014/10/18 19:00 女性誌速攻レビュー婦人公論 「婦人公論」(中央公論新社)10月22日号 今号の「婦人公論」は非常にロイヤルな趣きです。まず15ページを使ってドーンと特集しているのが、「皇后陛下 美智子さま 傘寿によせて」。“世紀のご成婚”と称された結婚パレード、被災地で声をかけられるお姿や家族とのオフショットなどのフォトギャラリーで55年の結婚生活を振り返る企画や、珠玉のお言葉集など、ファンにはたまらない内容になっています。 さらにロイヤルな存在感を醸し出している、女優・吉永小百合も登場。歌手で、吉永とは都立駒場高校時代の先輩後輩だという加藤登紀子との対談に付けられたキャッチは「清冽な思春期をともにした私たち」。清冽、それは清らかに澄んだ冷たい水の流れ。まぶしすぎます。 そんな元祖ロイヤル女優に「ちょっと待った~!!」をかけるのが表紙の仲間由紀恵。朝の連続テレビ小説『花子とアン』(NHK)の影響で今ではすっかり「華族な蓮さま」な仲間は、インタビューでもうっとりと、女性の強さや愛の尊さを語っているのですが、自身の結婚については一切触れず。まぁどういう事情があったのかはわかりませんが、その代わり左ページの半分を使いマスコミ各社にあてた結婚のメッセージが全文紹介されています。「今回の結婚について報道各社に届いた仲間由紀恵さんのコメント。心よりお慶び申し上げます(編集部)」のキャプションに、「……ロイヤルか!」とツッコまざるを得ませんでした。 <トピックス> ◎皇后陛下 美智子さま 傘寿によせて ◎仲間由紀恵 充実のとき ◎特集 「ぴんぴん老後」と「寝たきり老後」の分かれ道 ■ぴんぴん老後のためなら、この命投げ打っても…… さて、今号の特集は「『ぴんぴん老後』と『寝たきり老後』の分かれ道」。あれ、この特集少し前にやった気が……。そう、老後問題のローテーションが中3日でやってくるのが「婦人公論」。それだけ読者の需要も高いのでしょう。 特集の冒頭を飾るのは、インタビューでも対談でもなく、作家・落合恵子のエッセー「人生は『いま』を生きる旅だから」。「あと数か月で70歳になる」という落合が、今自分自身が感じている等身大の「老い」をつづっています。「いまのところは老眼鏡を使う時間のほうが、探す時間よりも長いが、そのうち逆転するのか。たぶんそうだろう。が、それはいつなのか? 予測はできない。予測できないがゆえに、漠然とした不安に結びつくのが、老いである」という一文に、この特集が何度も何度も「婦人公論」に登場する理由が見て取れます。 いつか来ることはわかっているけど、いつ来るかはわからない。明日突然ボケないとも限らない。だからこそ今のうちに策を練っておかなければと焦る、怯える。だからこそ落合は「老いの変化への不安や恐れの多くは『だろう』や『はず』から始まる。そしてわたしは、『だろう』や『はず』というほぼ確実でありながら不確定な予測に足を掬われ、ここにある『いま』を取りこぼすことを拒否したいと考える」「昨日は過ぎてしまった。明日はまだ来ない。とすると、わたしにとって確かなものは、いまここにある『いま』しかない」と訴えています。 12次のページ Amazon 婦人公論 2014年 10/22号 [雑誌] 関連記事 “ていねいな暮らし”で修道女をフィーチャーした「婦人公論」 の跳躍力がすごい!共感と非難が交わる心地よさを共有し合う、毒舌タレントと「婦人公論」読者「婦人公論」ならではの円熟味、夫婦問題は解決しないことこそ生きる知恵自分探しより墓探しをしろ!? 「婦人公論」が説く“理想の最期”とは「婦人公論」のルポで露見した、“事件を消費したい”という世論の強さ