噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第235回】

「連盟の理事にしてもいい」橋本聖子、“セクハラ”写真流出ルートと高橋大輔への甘言

2014/09/02 21:00
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「女性自身」9月16日号(光文社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 シリア北部で「イスラム国」に拘束された湯川遥菜さんのその後の情報がない。今年は本当に大きな事件の連続だが、同時に事件があっという間に消費され忘れ去られてもいく。1カ月ほど前に起きた佐世保の女子高生同級生殺害事件も、STAP細胞も、セクハラ野次もまるですごく以前に起こったことのような感覚――。ちょっと怖い。

第235回(8/28~9/2発売号より)

1位「橋本聖子議員 高橋大輔を怯えさせた『戦慄の合宿所』追っかけ乱入!」(「女性自身」9月16日号)
2位「江角マキコ 『ママ友の掟』破った罪と罰」(「女性セブン」9月11日号)
3位「つちやかおり “逃げ腰”カレとご近所『交際順調』宣言」(「週刊女性」9月16日号)
同「つちやかおり 『バカ夫』とはもう言いません…『彼とは自然体の友達です♪』」(「女性自身」9月16日号)

「週刊文春」(文藝春秋)が報じた、橋本聖子議員 “無理チュー”事件。先週は「週女」が“強要罪”だとの記事を掲載したのに続き、今週は「自身」「セブン」がこの問題を取り上げた。もちろんどこぞのオヤジ雑誌とは違い、橋本の高橋大輔に対するセクハラ・パワハラを大前提にした記事だったが、ソチ五輪選考に関して切り込んだ「セブン」に対し、さらに一歩踏み込んだ「自身」の方を1位にしたい。


「自身」記事によると、橋本の高橋に対する思いは“暴走”ともいえるものだったらしい。「高校時代に憧れていた初恋の先輩に似ている」「練習場所に頻繁に顔を出す」「酔っ払っては会話の中で『大ちゃんは』『大ちゃんは』と連呼し、うっとりしていた」――。

 まるで恋する乙女のようだが、実際に橋本が行った行為がオヤジ顔負けの無理チューというところが悲しい。ともあれ問題は橋本の持つ強大な権力だという。

「一度でもにらまれたら、自分の将来に影響します」

 日本スケート連盟会長として、連盟人事に大きな影響があるだけでなく、五輪や世界選手権選考にも大きな力を持つ橋本。だからこそ今回のセクハラ事件が重大だ。しかも記事には連盟関係者のこんな恐ろしい告白も。

「スポーツの世界で生きていくためには、彼女のご機嫌を損なうことはできません」


 スケートだけではなくスポーツ界全体にまで、その影響力があるらしい。しかも「自身」によれば、橋本は「大輔を将来は、連盟の理事にしてあげてもいい」とまで口にしていると言うのだ。これはまさにパワハラの証拠ともいえる。ポストを匂わせ、相手を自由にしようとする――。生殺与奪権さえ握られた高橋だからこそ、橋本からのチューを最終的には拒むこともできなかったし、「セクハラでない」なんて記者会見を開かなくてはならなかったのだ。 

 さらに「セブン」は無理チュー写真の流失についても言及する。そもそもスケート連盟の中には派閥が存在したが、橋本が会長になったことで、スピード出身の橋本によるフィギアへの影響力(介入)が強まった。そのことに不満を持つ関係者が写真を流失させたというのだ。確かに、この写真はソチ五輪の選手村の中で行われたパーティーのものだったから、関係者からの流失以外には考えられない。

 さらに安倍内閣の内閣改造が控えており、そのための女性入閣の争いが激化していた時期だ。これら関係者の思惑が写真流失という事態を招いたことは容易に想像できる。しかし――。どんな思惑があろうと、たとえ橋本追い落としの陰謀だろうと、高橋選手への無理チューセクハラは免罪できるものではない。女性の社会進出が進み、今後もこうした問題は増加するかもしれない。だが、散々セクハラをしてきたであろうオヤジどもに「女性上司なんてダメだって言っているだろ。ほれ、みたことか」なんて言われることだけは絶対に避けたいことだ。

 今回の問題は、権力を持った女性がどうあるべきかを考える1つのテキストとして活用したいものだ。

『ジョニー・ウィアー』