変容するギャル以降の女子カルチャー――消費を拒否、文化系オヤジを拒む女子の可能性
――ギャル雑誌は、10代の子がもっと目立つような状況を作っていかなければならなかったということですね。
米原康正氏(以下、米原) そう。その点「non-no」(集英社)や「Seventeen」(同)「Popteen」(角川春樹事務所)はうまいよね。クライアントのために従来のモデルへ青文字系の服をいきなり着せるんじゃなくて、時代の流れに合わせて、モデルやスタイルをどんどん潔く変えている。こだわってないんだ、いい意味で。過去にこだわらず「次のステージがあるよね?」と、モデルを送り出してあげればいいんだけど、多くのギャル雑誌には、ないもん、卒業。
――「人に何と言われようと、自分たちが好きな服を着る」というギャルマインドは、消滅してしまったのでしょうか?
米原 いま、その“ギャルマインド”は青文字系の子たちの中に息づいていると思う。彼女たちから感じとれる「男受けしなくていいから、自分たちの好きな服を着る」というテーマは、創刊当初の「egg」のソレだったもん。でも、このままじゃ青文字系も危ないよ。ギャルは実際に渋谷にいたけど、青文字系の子はあまり実態が見えなくて、雑誌の中にしかいない。青文字系の格好をしている子って、原宿でもショップの店員くらいじゃない? 青文字系ショップ自体も減っていて、いまは原宿的な洋服を扱ってるのはWEGOやSPINNSと言ったファストショップくらいしかないもん。そこは読者モデルのイベントをやったりして、なんとか原宿的なものを残そうとしてるよね。
――ちなみに、米原さんは、いま絶好調の青文字系雑誌「NYLON」をどう見ていますか?
米原 文化系を装っているけれども、実はギャル系マインドが強い雑誌だよね。ギャル文化の衰退によって、もともとギャル系ファッションが好きな子たちは、韓流系ファッションに流れているんだけど、そこをうまく船頭したのが「NYLON」なんじゃないかな。ただ、韓流系は、基本的にハイファッション志向なんだよね。アイドルを連れ出して韓流系の服を着させている点も含めて、「NYLON」にはどこか消費主義的大人の空気を感じはするよ。ただ、危ういのは、ここに対抗しうる雑誌がないっていう現状じゃないかな。若い雑誌が出てきてないってことでしょ?
色んなところで言われてることだけど、今の若い世代にとっては、雑誌よりもSNSなんだよね。みんなの意識がもう、月単位じゃないんだよ。週刊でもなくて、日刊。“いま”の情報しか信じない。常に情報を流していることがすごく大切になっている。