サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー俳優・妻夫木聡の職人性 芸能 イケメンドラマ特捜部【ジャニーズ&イケメン俳優】 『若者たち2014』に見る、文脈やキャラクターで演じない俳優・妻夫木聡の職人性 2014/07/28 18:15 妻夫木聡ドラマレビュー若者たち2014 ■背景と文脈を持たない俳優・妻夫木聡 また、名優揃いのため、役者同士の演技のぶつかり合いが楽しめるのも本作の魅力だ。一番おいしいのは、状況をかき乱す次男を演じる瑛太だが、興味深いのは長男を演じる妻夫木聡のアプローチだ。 高校時代にカリスマ読者モデルとして活躍していた妻夫木は、イケメン俳優の元祖ともいえる存在だ。映画『ジョゼと虎と魚たち』で高い評価を受けて以降は、軽薄な若者役が多かったが、近年は映画『悪人』で寡黙な犯罪者を演じたり、巨匠・山田洋次の映画に出演したりと、さまざまな映画監督のもとで他流試合を繰り広げており、その都度、まったく違うアプローチで役に取り組んでいる。つまり良い意味で、作品のために自分を消すことができる俳優なのだ。 『若者たち2014』は、妻夫木にとっては久々の連続ドラマ主演だが、おそらく杉田成道と仕事をしてみたくて承諾したのだろう。妻夫木が演じる長男は、旧『若者たち』では田中邦衛が演じていた役だが、饒舌で暑苦しい演技は田中の完コピに近く、言葉につっかえながらも前のめりでしゃべる感じや、口が半開きになっているところまで似せている。日本のテレビドラマは、例えば本作に出演する吉岡秀隆のように、その役者が持つ芸能人としてのキャリアから生まれる文脈やキャラクターが役柄にそのまま反映されることが多い。しかし、妻夫木は自身のキャラクターではなく、与えられた役柄に自分を近づけていく極めて職人的な俳優なのだ。 まだまだ首を傾げるところも多い本作だが、杉田成道の世界に没入する妻夫木のカメレオン俳優としての同化能力だけは賞賛したい。 (成馬零一) 前のページ12 最終更新:2014/07/28 18:17 Amazon SWITCH Vol.32 No.2 ◆ クリエイティブ・ギフト ◆ 妻夫木聡 邦衛の完コピ俳優って需要見えなすぎでしょ! 関連記事 『プラトニック』で身を削るような演技で存在感を放った、俳優・堂本剛に寄せる期待『死神くん』――キャラクタードラマで際立つ嵐・大野智の“人生に期待していない”強さ『リバースエッジ』――テレビドラマの異物・オダギリジョーの自己完結性の魅力と焦燥『弱くても勝てます』が浮き上がらせた、“等身大”を演じる嵐・二宮和也に迫る課題若手“優等生”俳優から脱した、三浦春馬の肉体性――『恋空』から『殺人偏差値70』へ 次の記事 ブリ、脂肪吸引のパンフを持参 >