女子グラビアは秀逸でもイケメン消費が下手! 女性誌の弱さを露呈した「ar」
「一緒に食事に行った時に料理をきれいに取り分けたり、お鍋の時ならアクを取ってあげたりっていう、細かい気遣いができるのがほんとの意味の女子力なんじゃないですかね」
りょ、料理の取り分け??? 「女が取り分けなきゃいけないなんて旧時代的だわ!」なんて野暮なことは申しません。気遣いは美徳のひとつです。しかし、アジアを代表する歌姫が、酸いも甘いも噛み分けた女性が、取り分けという合コンのお作法レベルのことを語っていることに少々がっくりきてしまいました。アムロちゃんは料理の取り分けにはよほどこだわりがあるようで、その後の「ステージで“いい女”を演じるテクニックや必殺ポーズはある?」という、これまた興味深い質問にも、
「ライブの時は衣装や髪型はつくり込んだものなので、自然にそうなれてるのかなって思います。普段は、女子力かなり低めです(笑)。食事の時も取り分けはしないタイプ。お好きな量をお好きなようにって感じで(笑)。でも私、お鍋のアクは取るんですよ(笑)。焼肉も焼いちゃう派。焼くのは女子会限定です」
と、(笑)を連発してピントのボケまくった回答をしていました。アクがどうとか肉がどうとかどっちでもいいんですよ、と申し上げたいところですが、そういう細かいところに気を配ることができる人だからこそ、スターになれるのかもしれません。なるほど、これは女子力というよりスター力ですね。歌姫・アムロちゃんほどの方に女子力なんて小っせーことを聞くなっちゅー話ですね。
■もっと独自の方法でイケメンを楽んで
「会いに行ける王子たち」として若手のイケメン美容師を紹介する「イケメてる美容師で~たFILE」という企画ページがあります。主に屋外で撮影したイケメン俳優ふうのショットとデータ(恋人はいる? 恋をするとどうなる? 僕と付き合ったらこんないいことあるよ、っていうのがあったら教えて! Sですか、Mですか? などの質問の答え)が掲載されています。
この企画に限った話ではないのですが、女性誌におけるイケメン特集はまだ未熟だと筆者は思っています。みなさんはイケメンに恋人がいるか、SかMかなんて知りたいですか。SかMかってものすごいハードなSとかMという意味じゃないですよね(←それなら知りたいけど)。そんなことを聞いて妄想が膨らみますか。筆者は彼らの写真を見て「年収はいくらなんだろう」「地元ではヤンチャだったのかな」「お母さんと仲いいのかな」「きっと同じ美容院のエラそうなオッサン美容師にイジメられてるだろうな」などオバサン的な探究心しか動きませんでした。SとかMとかって、それは萌えの着火剤になりませんから!
一般に、男性は写真から妄想を膨らませることに慣れています。男性誌における女性のグラビアは、女性誌における男性のグラビアよりも圧倒的に多いですし、グラドルの写真集も数多く出版されています。世の中には写真から“ご指名”するサービスもあります。でも、女性はそういう機会が少ない。慣れていない。男性誌のグラビアを踏襲しただけの、イケてる写真とプロフィールやコメントを見るだけじゃ萌えないんですよ。女性誌は女性誌独自のイケメン鑑賞法、イケメン消費法を生み出してほしいと常々思っております。この「イケメてる美容師で~たFILE」も従来の文法を抜け出せていません。「ar」的なぶっ飛び方が足りないと思います。
イケメンを萌えの対象化するのがイマイチな割に、女性のグラビアで萌えさせるのは大得意なのが「ar」。「気づいてたかもしれないけど、ワタシ… ビキニのために生きてんの」という企画は、タイトル通りこの夏おすすめのビキニの紹介ページなのですが、レトロなワンピースも盛り込み、生々しさとオシャレの間をほどよく行き来していて女子ウケ満点。特に、
「夏の休日は、下着代わりにビキニで過ごしてみる。ひとりでいる時こそ、ビキニ。めちゃくちゃ楽しいよ!(笑) こういう時は、とにかく自分がアガることが最重要。乙女気分にどっぷり浸れるおフェロなデザインを積極的にチョイス。そんなビキニがいつまでも似合う自分でありたいな」
というページにはグッときました。もちろん自分では家でビキニなんて絶対に着ませんが、「こういうことをして一生懸命おフェロをUPさせようとしている女子がいたらカワイイな」と思わされました。この「カワイくて萌える、でもおしゃれ」という感覚がピタッとくるイケメンページがあったらいいのですが……。
(亀井百合子)