女性誌速攻レビュー特別編・ティーン誌解剖 第2回【全4回】

30万部超えのトップ誌は、カレにも友だちにも”愛され”志向の「Seventeen」

2010/04/28 21:00
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「Seventeen」(集英社)5月号

 「Seventeen」(集英社)の歴史は古い。1968年5月、アメリカ「Seventeen」誌の日本版として「週刊セブンティーン」は創刊した。当時、総合少女雑誌だった「マーガレット」のお姉さん雑誌として位置づけられ、創刊号の特集は当時流行だった音楽のGS(グループサウンズ)だった。漫画や小説の連載などもあったが、ファッションは7ページしかなかった。その後何度かのリニューアルや、ライバル誌「プチセブン」(小学館・02年休刊)との激闘を経て、現在は30万部を超えた10代少女向けファッション雑誌のトップに君臨している。

 よく誤解されるが、この誌名は17歳を意味しているわけではない。ターゲットである13歳から19歳、その7つの年齢という意味で「Seventeen」と名付けられた。その年齢層向けの雑誌に特徴的な、誌面に過剰な情報を敷き詰める傾向はあまり見られない。しかし雑誌自体の完成度が非常に高く、写真や文字の強弱、レイアウトなどがとても丁寧で見やすい。モデルだけでなく、コーディネートやヘアメイクもとても可愛く、見ていて全く飽きることがない。これは「Seventeen」(以下、ST)のお姉さん雑誌である「non-no」や、休刊してしまった「PINKY」にも言えることで、集英社の本を作ることへのプライドが見て取れる。

■ガーリーにギャルをミックス。みんなに”愛され”志向の出現

 ファッションの傾向としてはガーリー+カジュアルが基本。ただ、ここ数年は誌面にギャル系ブランドが進出している。現在ST誌上で最も人気があると思われるのは、ギャル系ブランドとして名をはせた「セシルマクビー」。渋谷109内で10年連続売り上げトップのブランドだ。その他にも「ローズファンファン」、「one way」など多くの109系人気ブランドでページが占められている。これは、STがギャル化したというよりも、ギャル系ブランドが大衆化した結果と考えられる。元々ギャル系ファッションはとても幅が広く、時代の流行によってカメレオンのように変化してきた。購買層を拡大していくうち、ST読者に受け入れられるようなスタイルに行きついたのではないだろうか。逆に最近のギャル系雑誌はかつてのキッチュさが薄くなり、ガーリーなテイストを取り入れる傾向も見られる。

 では、ファッション的に差異が少なくなったように見えるギャル系・ガーリー系雑誌の違いはなにか。それは”モテ志向”だ。「私たちの」と書くギャル雑誌は意識が内に向かい、「みんなの」と書くガーリー雑誌は意識が外に向かう。前者は「病み告白」と続くが、STは「愛されワンピ」と続く。他にもST誌上では、「男ウケメイク」「カレを落とすコーデ」などの言葉が躍る。「みんな」にはもちろん「同性」からモテる意味も含まれるため、友達の作り方、友達との休み時間の過ごし方などコミュニケーション全般にまつわる企画が多い。そして性に関するページだが、こちらはほとんどない。一昔前とは違い、ティーン雑誌全体の傾向として性を取り上げなくなっているようだ。

■読者のカリスマとなる専属モデルを育てる


 老舗の雑誌だけに出身モデルも多い。宮沢りえ、長谷川京子、木村カエラ、土屋アンナらの超有名芸能人らが名を連ねる。専属モデルはSTモ(エスティモ)と呼ばれ、多くが雑誌モデル以外にもタレントとして活動している。また、人気モデルはそのまま「non-no」に引き抜かれることが多く、「Seventeen」を卒業した読者の囲い込みにも役立っている。現役のトップモデルももちろんただ者ではない。

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「Seventeen」の誌面バランス

 桐谷美玲は、ドラマやCMの出演はもちろん、連載をまとめた書籍は5万部近くの売り上げを記録している女子中高生の最大のカリスマである。映画の主演が決まっていて、メディアの注目も高まり今年ブレイク必至だ。

 「プチセブン」休刊以降、競合誌といえるような存在が見当たらないSTにとっては、マンネリ化ぐらいしか不安材料が見当たらない。しばらくSTの天下は続くだろう。
(大熊信)


『SEVENTEEN (セブンティーン) 2010年 04月号 [雑誌] (雑誌)』

ギャルか否かなんて今のコには関係ないのね

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最終更新:2013/03/28 17:53