カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「AneCan」8月号

普通の女の子100人の “運命的な愛”を特集した「AneCan」、プリンセス願望の根深さ

2014/07/28 22:00

 でもこの企画は“学び”や“気付き”を読者に求めてないのもわかってます。これは、自分をディズニーワールドのプリンセスに見立ててエピソードをつづり、聞き手に「素敵なプリンセスと王子様(はあと)! お似合い! 末永くお幸せに!」と祝福してもらう……そして聞き手も「私にも素敵な王子様が現れるはず(はあと)、自分磨きをもっと頑張ろう! ゴルフのスコア上げたり太宰治を読まなきゃ」と発奮するという企画なんでしょう。この特集で、「AneCan」の根幹はプリンセスストーリーであることを、あらためて認識しました。

■プリンセスも変顔する
 続いて、「それって昭和っぽい!?」企画では、昭和生まれと平成生まれの習慣の違いを紹介しています。例えば、昭和生まれのカラオケ盛り上がり曲は、小室ファミリーやモーニング娘。、平成生まれはモモクロかAKB48。写真を撮る時はピース+笑顔しかバリエーションのない昭和生まれに対し、平成生まれはTPOに合わせて変顔も自由自在、など、昭和生まれの筆者は思わず「その通り!」と膝を打ってしまうようなネタが盛りだくさんでした。こんな何気ない行動が昭和らしさを漂わせていたとは、教えてもらえてよかったです。それにしても、写真撮る時に変顔とは、平成生まれの文化はかなりハードル高し……。そもそも変顔を日常でする文化を持ち合わせていないんですよね、昭和生まれは。逆にどういう背景の中で変顔文化を誕生させたのか、そのヒストリーが気になります。

 毎号感じますが、「AneCan」の読み物はいつでもザ・綺麗事。今号はそれに輪をかけて童話のようなプリンセスストーリーを展開するという“進化”。読んでるこっちも落ち込むような職場のお悩み相談や、ネチネチドロドロ……だけど爆笑! みたいな結婚記事もありません。ファッションは、セレブ系からお嬢様系、そしてカジュアル系などといろいろ攻め込んでくるのに、肝心の内面はいつもお茶を濁してきます。いつになったら、ありのままのAneLADYのお話が読めるのでしょうか? まだ、このままじゃダメだとささやく声がきっと聞こえないんでしょうね。
(白熊春)

最終更新:2014/07/28 22:00
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