サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー上沼恵美子の夫対処術が絶妙 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「婦人公論」7月22日号 「婦人公論」つちやかおりの独占手記も霞む、上沼恵美子の定年夫観察記! 2014/07/20 16:00 女性誌速攻レビュー婦人公論 「婦人公論」(中央公論新社)7月22日号 大ブームを巻き起こした映画『アナと雪の女王』。今号の「婦人公論」(中央公論新社)では「『アナと雪の女王』を彩る歌姫」として、妹アナ役の神田沙也加、主題歌を歌った歌手のMay J.がそれぞれ本作品に出会えた喜びとそれに至るまでの苦労を語っています。この映画は見る人に自分を重ねさせてしまうことでおなじみですが、この人もまた然り。マルチリンガルとして育ち、幼い頃からピアノやダンスや声楽を習っていたというMay J.の過去は「周囲にはいつも外国人がいて。さまざまな言語が飛び交う環境で育ったことは、音楽をやっていくうえで、ラッキーだったと思います」。しかしデビューするも鳴かず飛ばずの日々が続き、転機となったのはバラエティ番組のカラオケ対決。オペラのレッスン、歌手になるためのインターナショナルスクールへの転校、そして……カラオケ。このギャップ、まさにMay J.の“ありのままでいいのよ”ストーリー。 しかしこのインタビューで彼女が一番伝えたかったこと、それは「実は歌(日本語バージョンの「Let It Go~ありのままで~」)を収録したのは、私が一番早かった」の部分です。そう、May J.はお松(松たか子)よりも先にレリゴっていたと! さらに「私の歌うエンドソングは映画をご覧になった方々がハッピーエンドだと知ったうえで流れることが前提です。エルサに感情移入するのではなく、物語の世界観を広く捉えて歌うことが求められました」。「歌がうますぎて、感情がこもっているように聞こえない」と半ば言いがかりのような批判を浴びてきたMay J.ですが、彼女だって好きでサラリと歌っていたわけじゃないんですよ! <トピックス> ◎『アナと雪の女王』を彩る歌姫 ◎夫にも子どもにも縛られない、私の老後 ◎定年夫と暮らして決意、これからは本音を言わしてもらいます ■オレオレ詐欺は母親たちが生んだ!? さて、今号の特集は「夫にも子どもにも縛られない、私の老後」です。ありのままに生きたいと願っても「休日になると何もしないで一日中ゴロゴロしてる夫」や「社会人になってもパラサイトし続ける子どもたち」が女を“母親”へと縛りつける。それならば「自分なりのペースですごす未来を手に入れるために、家族との距離の取り方を見つめ直しましょう」という企画です。 しかし「夫」から自由になる方法と、「子ども」から自由になる方法では若干トーンが違うようです。同じ「縛られない」でも、夫とはとにかく離れていたいけど、子どもとは本音を言えば一緒にいたい。「世話焼き母さんを返上。親子で自立するために」というページを見ると、長い年月をかけて積み重ねてきた母親稼業の業の深さを思い知らされます。心理カウンセラーの大門昌代氏が子どもを自立させられない親の特徴を挙げつつ、子どもに自立を促すようにアドバイス。親のキケンな口ぐせとして紹介されているのが、「子どもが失敗したらすかさず“ほら、お母さんの言ったとおりにしないから!”」「子どもの話を人にするとき“私がいないと、あの子はダメなのよ”」「教育方針の違う親に出会ったとき“あれじゃ、子どもがかわいそう”」などなど、ふいに言ってしまいそうなものばかり。 特に「あれじゃ、子どもがかわいそう」に関しては、「他人が自由に子育てをしているのを見て、『許せない』『間違っている』と感じるのは、『私はそうしたくてもできなかった』という後悔や嫉妬の裏返しの場合がある」とのこと。自分が正しいことを証明するために、ほかを貶めたい。だから「保育園に入れるなんてかわいそう」「ベビーカーを使うなんて楽してる」という根拠のない批判がボウフラのように湧き上がる。確かに子育てはボウフラの湧きやすい流れのない水にずっといるようなもの。 「お母さん」という役目を手放さずにいると、どういう道が待っているのか。「読者体験手記 お金にだらしない息子を突き放せなくて」。「『母さんにしか頼めない』に、財布の紐がすっかり緩んで」「長男に借金が発覚!返済できていると言いつつ、毎月お金をせびる態度に不安は募るばかり」……こ、これは、実の息子によるオレオレ詐欺ではないですか! こりゃどんなに啓蒙したって世の中からオレオレ詐欺がなくならないわけですよ。前述の心理カウンセラーが「子離れは失恋と同じ」と言っていましたが、傷の浅いうちに失恋しておいた方がよさそうです。 ■グレーだからこそ見えてくる世界もある さて、子どもとの関係は慎重にシリアスに語られる一方で、夫婦関係はなにを言ってもOKなのが「婦人公論」です。縛られたくない・夫編は、つちやかおりのインタビューから。思えば自身の不倫報道を受けて会見、別居と不倫を認めたその足でワイドショーにも生出演。夫の布川敏和が会見する様子を生放送で確認するという前代未聞の合わせ技を決めたものの、それが話題にならないという、なんとも微妙な事態に見舞われたこちらの夫婦。 12次のページ Amazon 婦人公論 2014年 7/22号 [雑誌] 関連記事 「婦人公論」の「女が嫌いな女」は、まさに読者そのものという強烈ブーメラン母性神話が毒母を生む、負のスパイラルに……「婦人公論」が母娘問題に斬り込むセックスレスが免罪符に? 「婦人公論」から見えてきた性への渇望「枯れてもいい、美魔女はしんどい」林真理子が「婦人公論」で意外な持論を展開美談に隠れた真実、“震災離婚”を掘り下げた『婦人公論』の気概に拍手