サイゾーウーマンコラム藤井リナのエッセイに見る女の残酷さ コラム 「タレント本という名の経典」 女ほど女の容姿を品定めする理由――藤井リナの『リナイズム』が浮き彫りにする女の残酷さ 2014/07/06 19:00 藤井リナタレント本という名の経典リナイズム 今回、写真を一切掲載せずに純粋なエッセイにしたのは、「(見た目が)可愛い」から「(生き方が)かっこいい」にシフトチェンジしていこうという意図があったのではないか。もう30歳。「若くて可愛い」が好まれる日本においては、あと数年もすれば「イタい」という評価に変化することは必至。今のうちに、キャピキャピの女性ファンを啓蒙し、「生き方」という名のフリルスカートをチラチラさせて囲いこまねばならない。本書で、あえて「素行不良」という世間のマイナスイメージについて自ら言及したことにより、過去のトラブルは全て「自分のやり方で生きてきた」という、人間としての強さに転化させることに成功した。「可愛いリナちゃん」は「メディアに叩かれても頑張ってきたリナちゃん」という伝説になった。「強さ」と「自立」という、今を生きる女性のツボを心得たのである。 ■「可愛い」を極めないと強くなってはいけない ロールモデルとしては、梨花がいる。バラエティ番組に出ていた頃は過去に付き合った男をネタにする下品キャラで売っていたが、その後、モデル活動に専念することによって、「可愛い」「おしゃれ」という足場を固めた。さらに、結婚、流産、出産、起業を経て、可愛いだけでなく「強さ」を身につけた。沢尻エリカは「別に」発言で猛烈なバッシングにあったが、天然の美しさを武器に、結婚、オールヌード映画出演、離婚を経て芯のある女優として人気が持ち直してきた(奇しくも彼女たちは、藤井がかつて所属していたスターダストプロモーション所属である。沢尻は退社しているが)。 しかし、強さを身につけて支持される女性芸能人と、支持されない女性芸能人がいる。支持されない代表格に紗栄子がいる。球界の宝と結婚し2児を出産、離婚して今はワーキングマザー。経歴だけを見ると女性ウケしそうだが、ネットでは同性にとことん嫌われている。男を利用している匂いがすること、子育てにまめそうに見えないことなどの理由があるが、巨大掲示板の誹謗中傷のほとんどは、最終的に「大して美人じゃないのに!」「勘違い!」という容姿の問題に行き着いている点が興味深い。菜々緒もトーク番組で過去の恋愛などについてぶっちゃけ、Twitterでは「あーこういう人達ほんと無理。一緒に仕事する気は失せる」とつぶやくなど自己主張が強いタイプ。美人枠に入っているはずだが、お約束のようにアンチは「整形」(真偽は不明)と揶揄し、容姿を叩く。 すなわち、奔放に生きても許せる容姿/許せない容姿、強さを全面に押し出して許せる容姿/許せない容姿がある。「可愛い」を売りにする芸能人のヒエラルキーに女性ファンは敏感であり、それぞれの階級に合った生き方を求める。そこを飛び越えた言動をすると、「大して美人じゃないのに!」「勘違い!」「身の程をわきまえていない!」と容姿バッシングをする。まるで男たちから品定めされ続けている自らのストレスを発散させるがごとく、女の中の女である女優やモデルを品定めしてやるのだ。 藤井は、世間の反応を見ていると、男性関係が奔放でも許せる容姿である。大手事務所から独立して許せる容姿である。しかし、身の程もわきまえている。なぜなら、テレビに進出したり女優業を始めたりしない。『リナイズム』の中で、モデルから女優やタレント業にシフトすることついて次のように述べている。 「私も、その進路についても考えて、試してみたほうがいいのかな? と思っていた時期もありました。でも、考えれば考えるほど、客観的に判断して、自分が女優という職業に向いているとは思えなかったのです」 「私はテレビのトーク番組に出ることも得意ではないのです。こちらも実際にやってみたのですが、自分の話したことの前後関係がカットされて、本意ではない方向に編集されることもある。制作側が意図したキャラクターに作り上げられることに、正直、違和感を覚えました」 藤井がモデルでいる限り、ファンの信仰心は薄れないだろう。しかし、将来を考えればいずれテレビへの本格進出も大いにありうる。「いつかは結婚もしたいし、子供も欲しい」と述べているので、結婚、出産を機に活動の場を変化させることもありうる。その時、ファンはどう受け止めるだろうか。「リナちゃん可愛い」「リナちゃんの生き方にあこがれる」なのか、あるいは「イタくなった」「勘違いし始めた」なのか。同性ファンは残酷ですよ。 (亀井百合子) 前のページ12 最終更新:2019/05/17 20:55 Amazon 『リナイズム』 過剰なブス自虐もストレス発散かもね 関連記事 モテ女子のテクを「コワ~イ」と一刀両断、保田圭『美ブス婚』のしたたかな上から目線「ブスといじめた者への究極の復讐」“整形モンスター”ヴァニラは本当に異常なのか?「やっぱり自分信じねぇーと」湘南乃風のがなり説法は、本当に若者の代弁か?自称クリエイター女子赤面必至!? 蜷川実花になるためのコスプレ読本美女ヤンキーは女子を自意識から救う――「ママ友はいらない」宣言・木下優樹菜 次の記事 編集者が恐れる、桐野夏生の飲み会 >