「24h cosme」は本当に肌にいいのか? 化粧品開発者が語る「ミネラル」のウソとホント
――石油由来の成分は、低刺激どころか刺激が強いと思っていました。
尾崎 多分皆さん、「石油」と聞くと、ガソリンを肌に塗るようなイメージを抱いてしまいがちなのでは。石油といってもコスメ用に精製されたものですので、ガソリンとはまったく違います。医療の現場でも石油由来の薬品が使われる程、石油の使い道はさまざまなんです。新生児から使えるといわれる「ベビーオイル」は、石油由来の成分である鉱物油でできたオイルですしね。仮に、コスメに自然由来の油が入っていても、1回で顔に塗るファンデーションの使用量を考えるとその含有量はごくわずか。それで美容効果を得ようというのはなかなか難しいのではないかというのが正直な感想です。
――「24h cosme」は、本当に24時間使ってもよいものなのでしょうか?
尾崎 「24h cosme」を問わず、丸1日化粧を落とさないという行為が肌に負担です。その理由は、肌に付着した見えない汚れを1日放置することが不衛生で、肌が荒れる原因になるからです。そしてもちろん、今までお話したように、「24h cosme」を使うことで、スキンケアのように肌に美容効果が表れるというのはまずありえません。
しかし、同じファンデーションでも、固形・粉タイプで、ミネラル配合の「24h cosme」のファンデーションは、微生物発生の元凶となる水分が入っていないため、保存料が不要であることから、肌への負担が少ないのは事実。24時間ファンデーションを塗るとしたら、「24h cosme」はほかのものに比べて低刺激……という意味合いで考えるとよいでしょう。
――最後に、「24h cosme」のファンデーションについて、オススメの使い方を教えてください。
尾崎 ミネラル成分の項目で挙げた「酸化チタン」は紫外線散乱剤なので、UVガード効果もあり、日焼け対策の補助としてフィニッシュパウダーやメイク直し用に使うのがオススメです。またミネラル成分の1つである「パーライト」は油脂を吸収、化粧崩れを防止し、肌の表面をさらっとさせてくれるので、これからの季節に使うと心地いいでしょう。最後に、これは意外に大きな効果があるのですが、コスメを使う時に、心理的に「肌にいい!」と思う気持ちが実際の効果を上げる場合があります。なので、「不安だな」と感じるものを使うのではなく、自分の心が躍るようなキャッチコピーのコスメを使った方がより効果を感じやすいというのも覚えてほしいですね。
(取材・文/碧)
尾崎幸子(おざき・ゆきこ)
化粧品開発者/コスメ成分アドバイザー
文系の大学を卒業後、人材ビジネスに10年間従事するも、シャンプーのPRに関わったことを機に化粧品に興味を持ち、大手化粧品メーカーの開発などを手掛ける化粧品開発コンサルタント・岩田宏氏に弟子入り。化学の基礎から化粧品処方までを学び、2013年11月、自ら開発したジェネリックコスメ「MUQ」を発売。自身が皮膚疾患を抱えていることもあり、体に優しく、正しく機能する化粧品を現在も開発中。日々ビーカーを片手に実験に勤しみながら、客観的に正しいコスメ情報を発信すべく、「コスメ成分アドバイザー」としても活動中。
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