口コミで広がっている使用法の真偽は?

ニベアは普通のクリーム!? 化粧品開発者がニベアとドゥ・ラ・メールを徹底検証

2014/02/26 15:00
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庶民の味方「ニベア」青缶(左)と高級クリーム「ドゥ・ラ・メール」

 ここ数年、高級スキンクリーム「ドゥ・ラ・メール」と成分が酷似しているというウワサがネットを駆け巡り、人気を集めているニベア(青缶)。ネットではニベアに+αを加えたアレンジレシピや独特な使用法が広がり、大きな盛り上がりを見せているが、はたしてそれは成分的に妥当なの? そもそも大きいサイズ(169g)でも500円ほどで買えるニベアと、30mlで1万8,000円ほどのドゥ・ラ・メールが本当に酷似しているの? 化粧品開発者・尾崎幸子さんに検証してもらった。

――単刀直入に聞きますが、本当にニベアとドゥ・ラ・メールは似ている?

尾崎幸子氏(以下、尾崎) 非常に似ています。クリームとしての基本の「つくり」は、ほぼ同じと言ってもよいと思います。ニベアは19種の成分、ドゥラメールは22種の成分から構成されていますが、このうち重複している成分はオレイン酸デシル、ジステアリン酸Alなど15種。これらはすべて、クリームとしての基本機能を担う部分で、多くは石油由来成分で構成されています。異なるのは、

ニベア:グリセリン、シクロメチコン、スクワラン、ホホバ油
ドゥ・ラ・メール:褐藻エキス、ライム果汁、エタノール、パンテノール、水添野菜油、シアノコバラミン、カロチン

 シクロメチコン、エタノール以外は美容成分で、これらの成分が違いといえます。


――褐藻エキスは保湿・皮膚再生・血行促進作用があり、パンテノールは表皮の細胞の代謝を活性化しり作用があるようですが、それらがドゥ・ラ・メールに配合されているのであれば、ニベアとは異なるのでは?

尾崎 化粧品の作り方として、一般的にベースの部分と美容成分は分けて考えられます。化粧品を使った際の感触、主な効果に関しては、ベースの部分がおおよそ影響します。ニベアとドゥ・ラ・メールの場合、このベースの部分が酷似しているので似ていると判断ができます。もちろん、まったく同じということではありません。

 褐藻エキスはグリセリンのような効果があり、主な効果は保湿です。ドゥ・ラ・メールの場合、グリセリンが褐藻エキスに置き換わったと考えられます。ただし、グリセリンよりも美容効果が高いので、そこは多少違いがあると思います。この美容効果は緩やかに感じるものなので、使ってすぐに違いが出るタイプのものではありません。長期的に使うと、差を感じる人もいると思います。パンテノールはシアノコバラミンの配合量が微量であることと、成分表記の並びから見て、特別大きな美容効果の違いが出る量ではないと推測ができます。

――ニベアが値段の割に高機能ということですか? それともドゥ・ラ・メールが割高ということ?

尾崎 ニベアは適正価格だと思います。成分の中心は石油由来のオイル、保湿の中心はグリセリン、どちらも高額な成分ではありません。石油由来のオイルは動物性・植物性のオイルに比べ、1/10から1/4の価格です。価格が高いスクワランやホホバ油は配合されていますが、成分表記を見る限り、値が張るほどの高配合ではないと思います。シンプルで使い勝手の良いクリームです。


 一方、ドゥ・ラ・メールはグレー。成分表記だけではわかりませんが、主成分は石油由来なので、ベースは高額ではありません。美容成分はニベアより数種類多く配合されていますが、高額になるほどの配合量ではなさそうです。例えばシアノコバラミンは効果が期待できる十分な量を配合すると、クリームはピンク色になりますが、ドゥラメールは白色。つまり微量の配合と推測できます。

ニベア クリーム 大缶 169g