「24h cosme」は本当に肌にいいのか? 化粧品開発者が語る「ミネラル」のウソとホント
「落とさないでいい」「肌がきれいになる」――そんな夢のようなコスメが、今人気を集めている。「化粧=肌に悪い」という常識をくつがえし、「24時間落とさなくてもOK!」という謳い文句で大ヒット中の天然ミネラルコスメシリーズ「24h cosme」だ。しかし、何をもって「24時間OK」といっているのか? そして、肌によいイメージが先行している「ミネラル成分」とは一体なんなのか? 化粧品開発者・尾崎幸子氏に「24h cosme」のファンデーションを、成分の観点から分析していただいた。
――「24h cosme」は、24時間つけていても「肌に負担がない」というイメージがありますが、これは本当でしょうか?
尾崎幸子さん(以下、尾崎) そもそも、化粧という「美容目的で肌に何かを塗るという行為」は、値段やブランドにかかわらず、何を使っても大なり小なり肌に負担を与えています。このようなコスメにおける宣伝文句の「肌に優しい」という言葉は、「肌への負担はゼロではないけど、極力負担を減らして作りました」というような内容を意味しているんです。
また「24h cosme」に対して、「美容成分が入っている=肌がきれいになる」という印象を持っている人もいるようですが、メイクアップとスキンケアは根本的に意味が違います。あくまでメイクアップは、肌に負担をかけるものであり、スキンケアのような美容効果はかなり少ないと思ってよいでしょう。
―――ずっと「ミネラル」が肌によい成分なんだと思っていたんですが……?
尾崎 最近のコスメの広告PRのせいもあってか、世間では「ミネラルは肌によい」というイメージが広まっています。「ミネラル入り麦茶」なんていう商品もあって、「体によいもの」と思っている人もいるかもしれませんね。しかし、このミネラルというものは、「無機物」を指す言葉なので、この世の中にある有機物以外は全て「ミネラル」なんですよ。
――ミネラルは別に、希少価値があるものではないということでしょうか。
尾崎 ミネラルを海水や海藻といったものだと思っている人は少なくありませんが、実はどこにでもあるもの。そして、この考え方でファンデーションを分類すると、今世界中に存在するファンデーション類全てが「ミネラル配合」コスメになるんです。その理由は、ファンデーションの肌色を作るベース成分の多くが、分類上「ミネラル」だから。ファンデーションの歴史を紐解いてみても、その基本公式はずっと「ミネラル成分」+「ミネラルでない成分(有機物)」なので、ミネラルが新しい成分ということはありません。開発側からすると「ミネラルがファンデーションに入っているのは当たり前」なんですよ。
――今になって、企業側が盛んに「ミネラル」を押し出しているのはなぜでしょうか?
尾崎 今まで当然のように配合されていたミネラル成分を、あえて広告に明記するということで、消費者に「なにか新しく肌にいいものが入った!」と印象づけようとしているというところでしょう。ただ、日々ファンデーションに配合されるミネラル自体の技術革新が行われ、より微細な粉末に加工するなど、きれいに肌に乗って、肌への負担が減るように進化しています。