10年片思いした友人の彼氏と結婚、しかし浮気発覚! 傷心妻が家庭外セックスを求めた意味
その男性は「とても頑張ってくれた」と清香さんは言う。壊れものを扱うように大事に抱きしめ、唇から下半身まで丁寧にキスをし、ご主人とは比較にならないほど愛撫に時間をかけてくれたそうだ。
「主人とのセックスは、いつも前戯がなくて、最初から挿入します。だからベッドサイドにローションを置いていて、それを塗ることが前戯のようなものなんです」
もちろん最初から前戯を短縮するようなセックスではなかったけれど、結婚してから少しずつパターン化していき、今のようなスタイルになったという。
「では、取り引き先の方とのセックスは、とても良かったんじゃないですか?」と聞くと、清香さんは間髪いれずに「とんでもない!」と反論した。「やっぱり女は、好きな人とのセックスじゃないと気持ちよくありませんよ! もう二度と浮気なんてゴメンです。私はやっぱり主人が好き」とのこと。彼女のご主人に対する思いは、まるでアイドルを追いかける“ファン”のようだ。
「まさに、その通りです! 私の生活は、18歳の頃から主人を中心に回っています。だから、今さらほかの生き方をしようと思っても、なかなか変えられませんよね。私は、主人のために週に3回フィットネスクラブに通ってスタイルを保ち、主人が選んだ服を着て、主人が好むメイクをする……それで、主人から『可愛いね』って言ってもらえる瞬間のために生きています」
しかし、ご主人の浮気に自暴自棄になったとして、なぜ清香さんはほかの男に抱かれたのだろうか? 散財をする、別れを切り出すなど、感情のはけ口はいくらでも思いつくが……。
「主人と浮気相手とのメールは、とても愛情に溢れていましたので……もしかしたら私も、主人のように、2人の男を同時に愛することができるのかなと、純粋に好奇心が湧いたんです。私は長い間、主人しか見ていませんでしたから」
そこまでご主人の影響を受けている清香さんに、最後に聞いてみた。「取り引き先の方とのセックスは、恋愛でないのならば、不倫? それとももっとライトな浮気でしょうか?」と。ご主人とのパターン化したセックスとは真逆の、愛情たっぷりの前戯。私だったら、どんなに気のない相手でも、多少の情は湧いてしまいそうだが、清香さんは、あっさりと「事故みたいなものですね」と答えた。清香さんにとって、年下男性との一晩は、ご主人への愛情を再認識させるためだけのものだったのだ。家庭外でのセックスは、時に夫婦関係悪化から立ち直る劇薬となるということか。
ご主人の浮気が発覚してからも、清香さんはそれを問いただすことはしていない。「帰ってきてくれれば、それでいいです」と、曇りひとつない笑顔で語る。今日も清香さんは、毎日ご主人のために家事をこなし、週末は外出したご主人の帰りを待ち続けている。
(文・イラスト=いしいのりえ)