元テレ東・亀井京子アナの余計な一言に垣間見える「女同士のマウンティングの真実」
この話に、女性の年齢いる? と私は率直に思った。相手の女性がいくつであろうと、プライバシーをいきなり訊ねるのは、失礼な行為である。それなのに亀井は、なぜ年齢の話をしたのだろうか。
これは立腹した亀井の「報復」だと思う。亀井にとって、自分より年上の女性は格が「下」であり、あの発言はつまり「ババア、うるせーよ」という意味が込められていたのだろう。また「25歳で結婚した」という発言からは、亀井の「早く結婚して、早く出産した方が格上」という価値観も透けて見える。
さらに言えば、亀井の語り口を見ていると、彼女が立腹した理由は、いきなりプライバシーに踏みこまれたからではなく、相手の女性が自分と夫が誰かを知らなかったことなのではないかと思えてしまう。
なぜそう思うかと言うと、亀井は女性の失礼な質問に対して、「出会いがない」「夜中にドンキ(のような庶民的な店で)騒いでくれる人はいない」と、率先して「格下」をアピールしていたからだ。女が自ら「格下」アピールをする時、そこには「本当は自分の方が格上だけど、女同士の関係を良好に保つには、平等なふりをしなければならない。だから、私がわざわざ下に下りてあげる」という思惑が介在するものである。やはり亀井には、自分達は業界ではマイナーであっても、一般人と比べると遥かに「格上」なのだという自意識があるのだろう。
そんな憤る亀井の隣には、元フジテレビの人気アナウンサー・木佐彩子が座っていた。夫は元メジャーリーガーの石井一久で、いわゆる「メジャーな世界のメジャーなカップル」である。亀井が先のエピソードを披露している最中、木佐は頷くことすらせず、薄くほほえんでいた。これぞ、勝者の余裕である。
最近、自分の方が相手より「格上」だとアピールする行為を「マウンティング」と呼ぶそうだ。しかし、木佐のような真の「上」の人間には誰も勝てないとわかるので、マウントをしかける人はいない。同様に、「勝つ」とわかっているので、明らかに「下」の人間に戦いを挑む人もいない。そんな「戦う必要がない」木佐が、亀井のエピソードに無関心を貫いているのは、当然と言えるだろう。
マウンティングとは「上下をはっきりさせる」ための行為ではなく、「中途半端同士」の戦いであり、争う者同士のレベルは、ほぼ互角なのかもしれない。一般人にマウンティングされた可哀想な元女子アナ妻のためにも、亀井の夫の奮起を期待したいところである。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
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