[女性誌速攻レビュー]「DRESS」4月号

創刊1周年の「DRESS」、結局「DRESSな女」とは何だったのか?

2014/03/20 20:30

■リケジョブームを先取りした「サイエンス・バー」

 さて世間では、リケジョが世紀の大発見をして「すわノーベル賞か」と騒がれた後に、その論文にいろいろ問題が見つかったりと、各方面で炎上中。

 実は「DRESS」には、隔月連載している「今宵、サイエンス・バーで」という、リケジョブームを先に行く企画だったがあります。今回は、うま味や美味しさについてを科学的に説明してくれています。リケジョにあこがれているだけの文系女にとっては、こういう取っつきやすいテーマはとてもありがたいですね。初回の「フェルメールと動的平衡」という抽象的な話から、ずいぶんと階段を降りてきてもらった気がします。

 ただ「DRESS」って、写真のキャプションや欄外の説明文が結構いい加減なんですよね。この企画でも、ドーパミンやβエンドルフィンといった、あまり聞き慣れない言葉に「『もっと食べたい』という欲求を与える」などと注釈が入っているんですが、本文にも同じことが書いてあるんです。しかもドーパミンって、別に食欲だけに登場する神経物質ではないのでは? 女性ファッション誌に理系企画を! という気概は感じるものの、どうしても「こなれてなさ」を感じてしまいました。もうちょっと逃げずに情報を詰め込んでほしいですね。

■「DRESS」から消えたアノ言葉


 1年を終えて、いろいろと迷走を繰り返した「DRESS」。次の1年で、「DRESSな女」像をしっかり見つけられるといいですね。……と言いつつも、実は最近「DRESSな女」というコピーをほとんど見かけなくなりました。創刊号では、目がつぶれるくらいの勢いで繰り返していたこのコピー。週末に韓国のサウナに行くようなセレブな女を「DRESSな女」と位置づけようとしたけれど、読者の要望に合わせて階段を降りてるうちに、結局「DRESSな女」とは「コーヒーをブラックで飲むオヤジョ」としか定義できなかったということなのかもしれません。

 ツッコミついでにもう1つ。「海外セレブはみんな年下男子にお熱」という企画に、カップルが6組登場していたのですが、そのうち3組が、年齢差2歳とか4歳とか、「それ誤差じゃね?」というレベル。企画してみたはいいけど、数が見つからなかったのだろうという現実が垣間見えてしまい、制作の苦労が忍ばれました。
(増井涼子)

最終更新:2014/03/22 01:31
『DRESS(ドレス)2014年 04月号 [雑誌]』
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