今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

木嶋佳苗ブログで気づいた、彼女が「デブス」と罵倒されるよりもつらいこと

2014/02/28 21:00
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『木嶋佳苗 法廷証言』(宝島社)

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎佳苗が戻ってきた!
 予想を裏切らない内容の木嶋佳苗ブログ。何か彼女の脳内に構築されている自己イメージが、実にしゅんでる感じである。マンガ『WORST』(秋田書店)なんかにも言及したりして、「反響」も織り込み済みの鼻息の荒さ。「そのうち私が取り上げる本が話題になって、書店にコーナーができたり、作者からお礼が来たりしたらどうしよう(はぁと)」と本気で思ってるフシがある。

 「デブス」と自分を否定する者を「私の価値をわからない下等な人間」と見下すことで、精神の均衡を保ってきた彼女。否定されることは何らつらくない。一番つらいのは自己主張できないこと。それは彼女にとって、死刑になるよりつらいに違いない。執行までずっとブログを続けようとする彼女と、あの手この手で禁じようとする上とのせめぎ合いで、きっとまた訴訟とかになるんだろうな。灰になるまで生涯木嶋佳苗宣言!

 それはもうわかった。脳内イメージはわかったから、今知りたいのは、その脳が構築されたプロセスだ。何を積み重ね、何から目を背け、何にすがった結果その思考回路に至ったのか。そのプロセスを知りたい。全盛期の山岸凉子のマンガで。

◎満島ひかりのミスキャスト
 資生堂のファンデーションのCMに出ている、満島ひかり。「化粧直し知らず」がウリのリキッドファンデらしいのだが。しかし、満島ひかりって、あんまり「お化粧直し」みたいなことを喚起させるタイプの女優じゃないと思うのだが。何よりまずファンデ塗らなそう。「あー、満島ひかりみたいな顔になりたーい」ってざわちん的ニーズのあるカテゴリーでもないし。

 演技派の呼び声高い彼女であるが、「ちょっとモードなOLさん」みたいな役は苦手のようで、終始何か恥ずかしそうな、尻がむず痒そうな顔をしている。CMを見てると、何かこちらまでちょい気恥ずかしくなる。どんな役でもこなせるはずの満島ひかりの、意外な弱点はモードなOLさんか。その弱点、克服しなくてよし。


◎ビットコイン狂騒曲
 ビットコイン、取引停止。だから言ったでしょ状態。だって仮想通貨だよ仮想通貨。「仮想」って銘打ってるものに現ナマつぎ込んじゃダメだろう。子どもが敬老の日にじいちゃんばあちゃんにあげる「肩たたき券」と変わらない。

 円天よりもわかりやすく「×」が匂う物件だっただけに、被害者に感情移入できるのりしろはゼロ。ま、手数料や手間を考え導入していたレストランとかはアレだけど、「説明しろ」「金返せ!」つってテレビカメラに映っている投資者、あれはモザイクかけなくてやらなくて大丈夫なのか。「あんなもんに騙されてたのを映されて、恥をかかされた」とか、後でガタガタぬかしそうだが。ま、たとえぬかしたところで「お前が悪い」で秒殺か。何かと自粛風潮のテレビ界も「コレは大丈夫」と踏んで映してるフシがある。

 被害者よりも、正直今頃制作していた可能性の高い「ビットコインでラクして大儲け!」的な記事の差し替え作業に追われているであろう「SPA!」編集部に同情する。本当に、お疲れ様です。

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今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。


最終更新:2019/05/22 16:34